「老ける」と「老いる」はどちらも「老い」という字が含まれた表現ですが、細かな意味合いが異なるため使い分けることが必要です。
この記事では、「老ける」と「老いる」の違いを分かりやすく説明していきます。
「老ける」とは?
「老ける」は「ふける」と読む言葉で、「年を重ねて老齢となること」や「外見などが高齢または老人めいて見える」といった意味を持ちます。
「老」の文字には、「年をとっていること」や「年を取っている人」などの意味があります。
「老いる」とは?
「老いる」は「おいる」と読む言葉で、「年をとる」や「年齢を重ねる」、「老齢になって心身共に衰える」といった意味を持ち合わせています。
そのほか、「季節がおわりに近づく」や「植物が弱り始める」などの意味で使用されることもあります。
「老ける」と「老いる」の違い
「老ける」と「老いる」は共に「年をとる」や「老齢」という意味を含む言葉ですが、それぞれが持つ意味合いに違いがあります。
「老ける」はどちらかというと「高齢に見える」という意味が強く、実際の年齢が高齢でなくても「実年齢より年を取って見える場合」に使用される表現です。
一方、「老いる」は「年齢を重ねて高齢になる」際や、「老齢になって心身の働きなどが弱る」という意味が強く、基本的には高齢者に対して用いられています。
「老ける」の例文
「老ける」は「実年齢より年を取って見える場合」に使用される表現で、「老ける」や「老けて見える」といった使われ方をしています。
また、「年を取った顔」を示す「老け顔」というフレーズも普及しています。
・『何年かぶりに帰省した姉を見て一気に老けたなと思った』
・『色が合わないのか、このジャケットを着ると5歳ほど老けて見える』
・『老けて見える原因は肌のたるみや目尻のシワなどにある』
・『最近の母は、老け顔を改善するためのマッサージやメイク方法を研究している』
「老いる」の例文
「老いる」は「高齢になる」や「老齢になって心身の健康や働きなどが衰える」といった意味があり、「老いる」や「老いた~」などの用法があります。
そのほか、「老齢になった後は何事も子どもに任せて従うことが望ましい」を表す「老いては子に従え」ということわざも有名です。
・『昔は元気そのものだった父だが、古希を迎えたあたりから腰が曲って老いてきた』
・『老いた祖母の小さい背中を切ない気持ちで見つめた』
・『同窓会でクラスメイトたちや先生方の老いた顔を目にし、自分も年を取ったなあとしみじみ思った』
・『老いては子に従えと言うとおり、老後のことは息子夫婦に任せようと思う』
まとめ
「老ける」と「老いる」を使い分ける際は、「高齢に見える」のか、もしくは「実際に高齢になる」のかに着目して判断することがポイントです。
双方の正しい意味合いや用法を学んで、適切に使い分けられるようになりましょう。
ぜひ語彙力アップの参考にしてください。