「示唆」と「教唆」はいずれも「唆」という漢字が使われた熟語ですが、細かな意味が異なるため注意が必要です。
この記事では、「示唆」と「教唆」の違いを分かりやすく説明していきます。
「示唆」とは?
「示唆」は「しさ」と読む言葉で、「他者にそれとなく何かを知らせること」「ほのめかすこと」を意味します。
漢字の「示」には「示す」「指し示す」といった意味があり、「唆」には「そそのかす」「けしかける」という意味が含まれています。
「教唆」とは?
「きょうさ」と読む「きょうさ」は、「教える」「教え導く」などを表す「教」と、「そそのかす」「けしかける」を表す「唆」が組み合わさった熟語です。
「何らかの物事をおこなうようにそそのかしたり扇動したりすること」または「他者をそそのかして犯罪を起こすように仕向けること」を意味します。
「示唆」と「教唆」の違い
「示唆」と「教唆」の違いを分かりやすく解説します。
「示唆」は「他者に何かをそれとなく知らせること」「何かをほのめかすこと」を意味し、物事をダイレクトに表現するのではなく婉曲的に表したり断片的にヒントを提供したりする際に使用します。
一方、「教唆」は「何らかの物事をおこなうように他者をそそのかすこと」あるいは「犯罪を実行するように仕向けること」という意味があり、良くない事柄に対して用いられます。
「示唆」の例文
「示唆」は「示唆している」「示唆に富む」のように使用されます。
また、相手に手がかりをそれとなく提供する際は「示唆を与える」のように表現します。
・『その研究結果は今の問題を解決する可能性を示唆している』
・『彼の講義は示唆に富む内容だった』
・『部下に業務改善についての示唆を与える』
「教唆」の例文
「教唆」は「教唆して」「教唆されて」のように用いられます。
また、相手を教唆して犯罪を実行させた人のことを「教唆犯」と呼びます。
・『彼は部下を教唆して帳簿を偽装した』
・『彼女は悪い友人たちに教唆されて犯罪を起こした』
・『教唆犯は共犯の一種で、正犯に準じて処罰されます』
まとめ
「示唆」は「他者にそれとなく何かを知らせること」を意味し、「教唆」は「何らかの物事を実行するようにそそのかすこと」「他者をそそのかして犯罪をおこなうよう仕向けること」を意味します。
双方の意味や使用例を理解して、必要に応じて使い分けてください。