明らかに体調が悪い状態を表す表現として「疲労困憊」と「満身創痍」があります。
どちらも体調がいつもどおりでなく正常ではないことを意味しますが2つの言葉には明確な違いがあり全く別の状態を指しています。
今回は、「疲労困憊」と「満身創痍」の違いについて解説します。
「疲労困憊」とは?
「疲労困憊」とは疲れ果てていること、限界を超えて披露し弱っている状態を指す言葉です。
「疲労困憊」の「困憊」には「すっかり疲れて困ること」という意味があります。
意味としては「疲労」と「困憊」はほとんど同じ意味であり、同じ意味の言葉を重ねることで語彙が強調されています。
一般に「疲労困憊」という表現が用いられる場合はただ疲れているだけではなく疲れているために動くことさえ難しい状況を指します。
息もたえだえで足を引きずっているような状況が疲労困憊であり、疲れを感じていても身体的パフォーマンスがそれほど低下していない場合はふさわしくありません。
「疲労困憊」は運動のしすぎや過労などにより気力や体力を使い果たしたことによって起きる状態です。
疲労感を感じていても病気など直接的な身体活動以外が原因である場合は疲労困憊には該当しません。
「疲労困憊」の使い方
・連日の残業で疲労困憊だ。
・疲労困憊のままワクチンを摂取すると副反応のリスクが高まる。
・マラソン大会の終了後、クラスメイトのほとんどは疲労困憊で突っ伏してしまった。
・最近の小学生は学校に塾に習いごととやることが多すぎて疲労困憊になる子が多い。
「満身創痍」とは?
「満身創痍」とは体中の至る所に傷がある傷だらけの状態を指します。
絶対的な基準はなく傷や怪我が多い状態であれば満身創痍と表現します。
治療されていても完治しておらずキズが残っていれば満身創痍です。
「満身創痍」の「満身」は体のいたるところという意味があります。
「創痍」は「創」と「痍」どちらも傷を意味しており体のあちこちに傷がある痛々しい状態が「満身創痍」です。
もともとは目で見える物理的な傷が多いことを意味する言葉でしたが現在では精神的な傷やショックのことを含めて満身創痍と表現することもあります。
クレームや非難を傷に例えた比喩的な表現として「非難が多く何度も欠点を指摘される」状態に対しても満身創痍という言葉が使われます。
「満身創痍」の使い方
・転倒事故により体のいたる所を怪我した満身創痍の状態になる。
・度重なるラフプレーで負った傷により満身創痍だ。
・敵から何とか逃げ延びた頃には満身創痍で無傷の場所を見つけるのが難しいほどだった。
・問題が次々に発覚しプロジェクトが満身創痍状態になってしまった。
「疲労困憊」と「満身創痍」の違い
「疲労困憊」が疲れによる体力の低下を表しているのに対し「満身創痍」は外的な要因による傷の多さを意味しています。
疲労困憊はしっかり急速を取れば回復し基本的に命の危険はありません。
満身創痍は回復には適切な治療が必要で場合によっては生命の危険もあります。
まとめ
「疲労困憊」と「満身創痍」は全く違う意味を持ちます。
使い方を間違えると意味の通じない文章になってしまいます。
言葉の意味を正しく理解して状況に応じてふさわしい表現を用いてください。