この記事では、「前沢牛」と「米沢牛」の違いを分かりやすく説明していきます。
「前沢牛」とは?
「まえさわうし」「まえさわぎゅう」と読み、岩手県で飼育されたブランド牛のことです。
岩手ふるさと農業協同組合(JA岩手ふるさと)によって商標登録された銘柄になります。
定義は、細かく決められており、岩手県奥州市前沢に住所のある生産者が、前沢地域で生産した黒毛和牛で、出生地がわかる牛であること。
また、牛が生まれてから、屠殺されるまでの期間のうち、前沢地域での飼養期間が一番長く、かつ、最終飼養地であることなどの条件があります。
肉の格付け基準は、肉質等級が5段階評価のうち、4以上で、かつ、歩留等級がA又はBであることが「前沢牛」の条件になります。
歩留等級(ぶどまりとうきゅう)とは、牛一頭から、皮や骨、内蔵などを取り除いた「枝肉」から、無駄なく肉が取れる割合を表しているものです。
等級は、A~Cまであり、A等級は、基準値72以上で、標準より良いものを指します。
B等級は、基準値69以上72未満で、標準のものになります。
「前沢牛」は、上質できめ細やかな霜降りで、しっとりとしているのが特徴です。
脂はしつこくなく、食べると溶けるように感じられます。
前沢地域の稲わらを、餌や敷き藁にして、堆肥を水田や畑に還元するという循環型の飼育方法がとられています。
前沢地域は、奥羽山脈、北上産地から流れる雪解け水や豊かな土地による米作りに適した土地です。
「前沢牛」の使い方
名詞として使います。
「お歳暮で前沢牛を頂いたので、家ですき焼きをしましょう」などと、使用します。
「米沢牛」とは?
「よねざわぎゅう」と読み、山形県のブランド牛です。
山形県米沢市がある置賜管内の三市五町に住んでいて、米沢牛銘柄推進協議会が認定した人が育てており、黒毛和種の出産経験のない雌牛とするなどの条件があります。
肉の格付け基準は、生後月齢32ヶ月以上のもので、肉質等級は3等級以上と決められています。
米沢では、もともと農耕や、運搬、採肥のために牛を飼育していました。
明治のはじめに、英語教師のチャールズ・ヘンリー・ダラスが和牛肉を食べたことが、食用「米沢牛」のきっかけとなりました。
あまりにも美味しかったので、任期を終えるときに横浜に牛を連れて帰り、米沢の和牛を仲間に振る舞いました。
食味の良さに驚かれ、大好評だったといわれています。
その後、明治の中頃、横浜の問屋と特約し牛を販売したところ好評だったので、「米沢牛」が広く知られるようになりました。
米沢牛は、赤身が美味しいと言われることが多く、柔らかさと旨みが感じられるのが特徴です。
一般的な牛肉と比べると、脂の溶ける温度が低く、口の中に入れると脂が溶けます。
「米沢牛」の使い方
こちらも、名詞として使います。
「美味しい米沢牛を食べさせてくれる店を知りませんか」などと、使います。
「前沢牛」と「米沢牛」の違い
「前沢牛」は、岩手ふるさと農業協同組合の登録商標になります。
「米沢牛」は、山形県の、米沢牛銘柄推進協議会が定義を定めており、協議会が認定した飼育者が育てた牛です。
違いは、「前沢牛」は、雌雄の決まりが無いのに対し、「米沢牛」は、未経産雌牛と決められていることです。
また、等級の範囲に違いがあり、「前沢牛」は、肉質等級4以上、歩留等級B以上と決められています。
それに対し、「米沢牛」は、肉質等級3以上となっています。
まとめ
ブランド牛は、厳しい基準をクリアした牛です。
和牛のなかでも、「前沢牛」や「米沢牛」は、希少性が高く、肉のグレードも高くなります。