日本語には似たような行為を数字や度合いに違いを持たせて表現するものがあります。
今回は日常生活でも使う2つについてご紹介致します。
この記事では「一歩譲って」と「百歩譲って」の違いを分かりやすく説明していきます。
「一歩譲って」とは
これは『相手の言う意見や主張に対して自分の考えを少し歩み寄らす』という意味があります。
文字通り『一歩』だけ相手に寄った対応をするだけでありますので、完全同意したという意味ではありません。
また、自分の考えを頑なに譲らない人物を諭すときにも使われます。
例えば『言い分はわかりますが、一歩譲って頂くことはできませんでしょうか』と表現すると、少しだけ譲歩してくれないかという交渉に使う言葉にもなります。
この表現にはもう一つの意味が存在しており、『競争相手や比較している相手に劣っていること』を示します。
例えばクラスで学業がいい2人がいたとして、それぞれに得意な科目がある場合は『Aさんは数学ができるが、英語ではBさんに一歩譲っている』というように表現をすることが出来ます。
「百歩譲って」とは
これは『議論などで相手側が主張している言い分を最大限譲歩している様子』に使う言葉です。
通常『百歩』という距離を相手に譲ることは考えられませんので、これが相手に対して『最大限』自分の考えを抑えて合わせるという意味になります。
しかしながら仮定の話をする際の表現として使われることが多いです。
例えば『百歩譲ってそれが事実だったとしても、Aさんは慎重に発言ができたはずだ』というと『Aさんの発言はどう考えても到底認められない、もしくは許容できない』という意味になります。
「一歩譲って」と「百歩譲って」の違い
この二つは『相手の主張や考えに少しだけ譲歩する』か『相手の主張や考に対して最大限譲歩する』かという違いではっきりと分けることができます。
また、前者は2つの意味があるのに対して後者は1つだけ。
別の見方としては『百歩譲って』は一人称から三人称まで幅広く使えるのに対して『百歩譲って』は一人称から仮定の話をする際に使われることがもっぱらでるという違いもあります。
この様に『一』と『百』で度合いだけでなく、言葉を使う相手の方向性まで変わりますので注意が必要です。
「一歩譲って」の例文
・『この件に関しては両社一歩も譲らない状況が続いた』
・『わかりました。本案件については営業の言い分に一歩譲りましょう』
・『性能面では他社に一歩譲ってしまった』
「百歩譲って」の例文
・『あなたのしたことは百歩譲って法律に違反していないとしても道徳的観点から許されることではない』
・『百歩譲って佐藤さんの考えが正しいとしても、このビジネスを続けるにはリスクが大きすぎる』
・『貴社の主張を今回は百歩譲って受け入れるとしても、二度目はないと思ってください』
まとめ
如何でしたでしょうか。
歩数で度合いや方向性が変わるという面白い表現が『一歩譲って』と『百歩譲って』でした。
日本語にはこの様に同じような表現でも数字を変えて意味も変えるものが多くあります。
是非調べてみることをお勧めします。