「醸成」と「形成」はいずれも「成」という漢字が含まれた熟語ですが、意味が異なるため適宜使い分ける必要があります。
この記事では、「醸成」と「形成」の違いを分かりやすく説明していきます。
「醸成」とは?
「醸成」は「じょうせい」と読む言葉で、「原材料を発酵させて酒や味噌などを造ること」を意味します。
また、「ある状態や雰囲気などを少しずつ作り出すこと」という意味も持っています。
漢字の「醸」は「かもす」「酒をつくる」「特定の状態をつくり出す」などを表し、「成」は「出来上がる」「成し遂げる」「育つ」という意を示します。
「形成」とは?
「けいせい」と読む「形成」は、「何かを形づくること」「まとまりのある形に作り上げること」を意味する言葉です。
「形」には「かたち」「姿」「外に現れる」といった意味があり、「成」には「出来上がる」「成し遂げる」「育つ」などの意味が含まれています。
「醸成」と「形成」の違い
「醸成」も「形成」も「何かをつくること」という意味合いを持つ点は共通していますが、次のような違いがあります。
「醸成」は「原材料を発酵させて酒などを造ること」を意味し、酒のほかに味噌や醤油などを造る際に使用されます。
また、「特定の状態などを次第に作り出すこと」という意味も含まれ、人々の間に特定の雰囲気や考え方を引き起こすようなシーンで使われます。
一方、「形成」は「物事を形づくること」を意味し、主に物事を整った形に作り上げる際に用います。
「醸成」の例文
「醸成」は「〜を醸成する」や「〜が醸成される」のように使用します。
やや硬い印象が感じられる言葉なので、日常生活での出番はあまりないかもしれません。
・『蔵で日本酒を醸成する』
・『業務改善によって柔らかい雰囲気が醸成され始めている』
「形成」の例文
「形成」は「〜を形成する」や「〜の形成」などのように用います。
比較的幅広い分野で使用されている言葉といえます。
・『一人ひとりの人間が社会を形成している』
・『育つ環境は人格の形成に影響を及ぼす』
まとめ
「醸成」は「原材料を発酵させて酒や味噌などを造ること」「ある状態や雰囲気などを少しずつ作り出すこと」を示し、「形成」は「形づくること」「まとまりのある形に作り上げること」を示します。
両者の違いや使用例を参考にして、場面に合わせて使ってみましょう。