「自前」と「事前」はいずれも「前」という漢字が使われた熟語ですが、読み方や意味が異なるため注意が必要です。
この記事では、「自前」と「事前」の違いを分かりやすく説明していきます。
「自前」とは?
「自前」は「じまえ」と読む言葉で、「費用を自分でまかなうこと」や「自分のお金で入手した品物」を意味します。
また、「職人などが独立して事業を営むこと」という意味で使用されることもあります。
漢字の「自」には「おのれ」「自ら」「ひとりでに」といった意味があり、「前」には「進んで行く方向」「ある時点よりも前」「順序が先」などの意味が含まれています。
「事前」とは?
「じぜん」と読む「事前」は、「物事が生じる前」や「物事をおこなう前」を意味する言葉です。
「事」は「出来事」「事柄」「仕事」「おこない」などを表し、「前」は「進んで行く方向」「順序が先」「ある時点よりも前」といった意を示します。
「自前」と「事前」の違い
「自前」も「事前」も「前」という漢字が使われていますが、「自前」は「前」の訓読みを取り入れて「じまえ」と読むのに対し、「事前」は「前」の音読みを取り入れて「じぜん」と読みます。
双方の意味の違いは次の通りです。
「自前」は「自分で費用を負担すること」「自分のお金で入手した品物」「職人などが独立して事業を営むこと」を意味します。
一方、「事前」は「物事が起こる前」または「物事を実施する前」という意味を持ちます。
「自前」の例文
「自前」は「自前で〜する」や「自前で稼ぐ」のように使われます。
日常生活を中心に様々なシーンで用いられている言葉です。
・『弁当は会社で用意してくれるが、飲み物は自前で用意するようだ』
・『彼は事務所から独立して自前で稼ぐようになった』
「事前」の例文
「事前」は「事前に〜する」や「事前の〜」などのように使用します。
こちらも普段の生活をはじめとした幅広い状況で使われます。
・『その業務について事前に打ち合わせすることになった』
・『入館には事前の予約が必要です』
まとめ
「自前」は「自分で費用を負担すること」や「職人などが独立して事業を営むこと」を示し、「事前」は「物事が生じる前」「物事をおこなう前」を示します。
「自前」が重箱読みになる点も覚えておきましょう。
両者の違いを理解して、状況に合わせて使いましょう。