この記事では、「義務」と「強制」の違いを分かりやすく説明していきます。
「義務」とは?
「義務」には、それぞれの人の立場に応じて、道徳的・法律的にそうするのが当たり前なことです。
スポーツ競技としてのスケートボードは、18歳以下のものはヘルメットをかぶらなければならないとされています。
これは身の安全を確保するために、当然やらなければならないことです。
このような当然やらなければならないことを「義務」といいます。
今度はペットを飼うことで考えてみます。
ペットはおもちゃではないので、いらなくなったら捨てるということはできません。
犬や猫の場合だと寿命が10~15年ほど、長いものは20年以上にもなります。
何年もの間飼育していて、嫌になることがあるかもしれませんが、それでも最後まで面倒をみるのが、飼い主としての当然の務めです。
これも「義務」といいます。
「義務」の使い方
人それぞれの立場に応じて、当然やらなければならないことを指して使用します。
同じ事柄でも、ある人にとってはやらなければならないことだけれど、別のある人にとってはそうでないことがあります。
たとえば、先のスケートボードの例だと、18歳以下はヘルメットをかぶる必要がありますが、それよりも上の年齢の人はかぶる必要がありません。
このように人によって、当然負わなければならないことが違ってきます。
「強制」とは?
「強制」とは、本人の意思に関係なく、ある物事をやらせることです。
道路拡張の工事をするためには、拡張される範囲にある建物をどかさなければなりません。
その場所に住宅がある場合は、住民に別の場所に移動してもらい、住宅を壊す必要があります。
そのため、そこに住んでいる人に無理に別の場所に移ってもらうことがあります。
住民は別の場所に移りたくないのに、道路拡張のために無理やりやらされるのです。
この場合は「立ち退きを強制される」ということができます。
「強制」の使い方
本人がどう考えているかに関係なく、無理に何かをやらせることを指して使用します。
本人が嫌がっているのに、やらせることについて使うことが一般的です。
「義務」と「強制」の違い
前者の言葉は、当然やらなければならないことです。
無理にやらせているという意味は含まれていません。
後者の言葉は、無理にやらせることです。
そのことは、当然やらなければならないことではない場合もあります。
「義務」の例文
・『最後まで面倒をみるのが飼い主の義務だ』
・『外出時には報告することが義務になっている』
・『義務感で動いています』
・『義務なので仕方がありません』
「強制」の例文
・『強制なんてされたくない』
・『片付けを強制される』
・『ある品物を買うことを強制された』
・『強制ではありません』
まとめ
どちらの言葉も、無理やりやらされているという意味を持っているように感じますが、無理やりやらされるという意味を持っているのは「強制」で、「義務」にはそのような意味はありません。