経済が低迷し、貧困層が拡大しているとされる日本。
高齢者など社会的弱者が増える中、ニュースや新聞で頻繁にみられるようになったのが「給付」と「支給」という言葉です。
特にこの2年間はコロナ禍のため給付金を支給する話やその額がいろんな場所で話題になりました。
「給付」と「支給」はとてもよく似た言葉ですが、使い分けのポイントなどはあるのでしょうか。
この記事では「給付」と「支給」の違いを分かりやすく説明していきます。
「給付」とは?
「きゅうふ」とよみ、国や公共団体や会社など、人々が所属している組織や団体が、一定条件を満たした人々に金品や物品を供給・交付することをいいます。
また、債務者がなすべき行為や内容を示す法律用語でもあります。
「給」という漢字には「足りないものを補う、あてがう」、「目上の人から目下の人に何かを与える、下げ渡す」という意味があるため、昔からあらゆる言葉とセットで使われてきました。
例として「給食」、「給料」などがあります。
これに「付」を付けると「付け足す」というニュアンスが生まれ、「足りないものを、目上の人々から、あてがって補う」という意味になるのです。
似た言葉に「付与(ふよ)」がありますが、「給付」が金品や物品を「きちんと与える」というのに比べ、「付与」は「すでに与えているものに」付け足すという意味が強くなります。
「給付」の使い方
・自治体は補助金を「給付」すると発表した。
・私の会社は従業員に制服を「給付」している。
・彼は入院「給付」金の支払い対象だ。
「支給」とは?
「しきゅう」とよみ、金品などをはらい渡すことを言います。
この場合の「払い渡す」は、「その人を助け、支えるために金品などをあてがう」というニュアンスがあり、よって、例えば債務者(借金などを返済する義務がある人)が債権者にお金を払うのとは全く異なる意味の「払い渡す」です。
「支給」の使い方
・給与を「支給」する。
・国が学用品を子供たちに「支給」した。
・児童手当制度の「支給」対象は中学校卒業までの児童を養育している保護者だ。
・使用人に「支給」する手当は、原則として給与所得となる。
「給付」と「支給」の違い
「給付」は国や公共団体などが、規定に基づき条件にあった人々に金品や物品を払い渡すことを意味し、「支給」は金品などを払い渡すことを表します。
同じ場面で使用されることも多いですが、意味は同じではありません。
使い分けをするときは「その金品を与える存在」に注目してください。
「給付」は基本的に「国・公共団体・会社・保険会社」など権威ある大きな組織が与えるときに使用します。
例えば「社長が怪我をした従業員に手当を『給付』した」とは言いません。
この場合は「支給」した、が正解です。
「支給」という言葉は単純に金品を払い渡すことを意味しているので、幅広く利用されます。
まとめ
「給付」と「支給」は、私たちの社会生活で欠かせない言葉となりました。
臨時福祉「給付」金、子育て世帯生活支援特別「給付」金など、「給付」とつく言葉は世相を反映しながら現在も増え続けています。
どんな「給付」金が生まれ、「支給」されているのか、正しく意味を知れば、社会への理解がもっと深まるでしょう。