相手に対して良い思いを伝えることを表す言葉に「褒める」と「感謝」があります。
この2つの言葉はどちらもポジティブではありますが意味は全く異なります。
今回は、「褒める」と「感謝」の違いについて解説します。
「褒める」とは?
「褒める」とは「相手の行動や成し遂げたことに対して好意的な評価をする」という意味を持つ言葉です。
相手を称え賞賛するのが「褒める」であり、褒められた人物は喜ばしくうれしい気持ちになります。
一般的に「褒める」という行為には上下関係が存在し、上の立場から下の立場に向けられる好意的な評価のことを「褒める」と表現します。
最近は下の立場にある者が上の立場の相手に対して褒めることもありますが、本来は下の立場から上の立場に向かって褒めるのは無礼でマナー違反にあたる行為とされています。
「褒める」には能力的に優れたものが劣るものに対して賞賛するという意味も含まれています。
相手の力量を認めることが「褒める」の大前提になるので優劣の関係がある場合に使われるのが本来的な正しい使い方です。
「褒める」の使い方
・テストで高得点を撮った娘を褒める。
・好成績を上げたので監督に褒められた。
・生徒を褒めるのが上手な教師。
・褒めて伸ばすのが部下を育てるコツです。
「感謝」とは?
「感謝」とは「ありがたく思うこと、深く恩を感じること」という意味の言葉です。
感謝の対象は一般的に特定の人物や団体です。
その他には神や運命など抽象的な存在や道具や動物などに向けられる場合もありますが、基本的には特定の個人や団体に対して向けられる感情です。
感謝は相手に対してありがたいと思う気持ちです。
必ずしも相手に対し伝える必要はなく心のなかで思うだけでも成立します。
感謝を伝える具体的な行動としてお礼や恩返しがありますが具体的な行動についてのルールはなく自由な形で感謝が伝えられます。
「感謝」はさまざまな立場を超えて生まれる感情です。
立場の上下や身分の違いにかかわらず感謝するのはおかしなことではなく、よく働いてくれた部下に対して上司が感謝の気持を持つようなケースもあります。
「感謝」の使い方
・協力に感謝します。
・救援物資を持って駆けつけてくれた友人に感謝の気持でいっぱいだ。
・被災地を支援してくれた世界各国に感謝の気持ちを伝えよう。
・人間関係の基本は感謝の心を忘れないことである。
「褒める」と「感謝」の違い
「褒める」は相手を好意的に評価し賞賛する気持ちを具体的な言葉や行動で伝える行為を指すのに対し、「感謝」はありがたいという気持ちそのものを意味します。
「褒める」は具体性を伴うコミュニケーションの一種ですが「感謝」は個人の内なる気持ちそのものを指しています。
「褒める」には上下関係が存在しますが「感謝」にはなくどのような関係性でも成立します。
技量や成果を純粋に「褒める」場合などは特に好意はありませんが「感謝」には常に好意的な感情が含まれているという点にも違いがあります。
まとめ
「褒める」と「感謝」は似て非なる言葉です。
使い方を間違えると相手に対して失礼になることもあるので注意しましょう。
正しい意味を知りふさわしい言葉遣いを心がけてください。