日々の生活で「後の祭り」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
また「祭りの後」という表現もときどき耳にします。
ともに「祭り」と「後」を使った伝統的な表現です。
この違いと使い分けをきちんと説明できる人は少ないかもしれません。
この記事では、「後の祭り」と「祭りの後」の違いを分かりやすく説明していきます。
「後の祭り」とは?
代表的な意味は「手遅れ」です。
むかし神社でお祭りをした後、お供えした酒や食べ物(神饌)を下し宴会しました。
祭りが一番盛り上がっている時が終わり、今から見に行ってもしようがないという状況から意味が転じて「時期に遅れて、どうしようもないこと」を示すようになったという説があります。
他にも、京都にある八坂(やさか)神社で行われる、有名な「祇園祭(ぎおんまつり)」の「後の祭り」が「前の祭り」に比べて地味でつまらないから見に行ってもしようがない、と言われた事が始まりとする説や、祭りの際に使用される山車(だし)が、祭りが終われば役目を終え目に触れることがなくなる状態からきているとする説、葬式や法事のような故人の霊を弔うための、亡くなった後の祭りを、どんなに豪華にしても意味がないという考えから転じたなど、由来説は様々です。
いずれも「最も重要な時期を逸すると、あとから何をしても意味がない。
手遅れである」という意味に変わりはありません。
昔からタイミングを逃すことはあまりよくない、と考えられていたのがうかがえます。
「祭りの後」とは?
祭りのような楽しく華やかな時間が終わり、興奮から醒めた虚脱感や寂しさを表します。
お祭り騒ぎが終わり、急に静けさや日常が戻ってきて感じる虚無感を意味する慣用句です。
「後の祭り」と「祭りの後」の違い
後の祭りは「時期を逃してどうすることもできない手遅れ」を意味し、「祭りの後」は「楽しい時間のあとに感じる寂しさや静けさ」を意味するので、言葉は似ていても意味はまったく違います。
「祭り」「後」「の」と全く同じ3つの言葉の配置が違うだけなので、使い分けに迷う人がいるかもしれません。
迷ったら、昔「前の祭り」とは別に「後の祭り」という習慣があったという由来を思い出しましょう。
また「祭りの後」は静かになるというイメージを持つのは難しいことではないはずです。
「後の祭り」の由来を知り、「祭りの後」の静けさのイメージを持って、言葉の順番に迷わないようにしましょう。
「後の祭り」の例文
・『今さら気づいても遅い。後の祭りだ』
・『もっと早くから準備するべきだったが、後の祭りである』
・『慌てて言い訳をしたが、後の祭りだった』
「祭りの後」の例文
・『大きなイベントが終わった後の会場は、祭りの後の静けさにつつまれていた』
・『みんなが帰った後の1人部屋は祭りの後の侘しさよ』
・『祭りの後のような寂しい気持ちだった』
まとめ
伝統的な慣用句は昔の習慣やしきたりがベースになっており、現代人が正しく意味を推測、理解するのが難しい場合があります。
その言葉が生まれた背景や歴史を振り返ると、身近に感じられるのではないでしょうか。