「提供」と「販売」の違いとは?分かりやすく解釈

「提供」と「販売」の違い二語の違い

飲食店での酒類提供についてのニュースを耳にする機会が増えています。

酒類を客に出すことの是非はともかくとして、なぜニュースではお酒を「販売」と表現せず「提供」という言葉を用いているのでしょうか。

今回は、「提供」「販売」の違いについて解説します。

「提供」とは?

「提供」とはモノやお金を差し出すことを意味する言葉です。

基本的には相手の喜ぶものを役立ててもらうために差し出すときに使われる表現で、提供を受けた側にとってメリットが発生するケースにふさわしい言葉です。

「提供」はモノやお金を差し出すこと全般で使われる表現であり対価の有無は問いません。

お酒を差し出す代わりにお金を受け取る場合も対価を求めずお酒を振る舞う場合もどちらも提供です。

相手の求めているもの、必要としているものを差し出すのが提供の本来の意味ですが相手の希望を考えず押し付けるように提供されることもあります。

ものやお金を差し出すことから転じて「支援すること」という意味で使われることもあります。

団体や個人に対しての支援活動やテレビ番組に制作費を出すことは提供と表現されます。

「提供」の使い方

・食料品を提供する。

・金銭負担の代わりに活動場所を提供する。

・このレストランではフランス産ワインのみを提供している。

・この番組はご覧の各社の提供でお送りします。

「販売」とは?

「販売」とは金銭を対価に商品やサービスを売る行為を指す言葉です。

広義では物品やサービス同士の交換も含まれますが一般的には金銭との引き換えという狭義の意味で使われます。

販売の「販」の訓読みは「ひさぐ」です。

意味は「商いをすること」なので「販売」「商売として商品やサービスを売ること」を意味します。

つまり「販売」とはプロの業者が売る行為を指しています。

金銭で何かを売ったとしても素人同士の取り引きの場合は販売という表現を用いるのは本来ふさわしくありません。

「販売」の使い方

・ガムからチケットまでコンビニではあらゆるものが販売されている。

・新製品の販売計画を見直す。

・好評につき追加販売が決定した。

・販売からわずか3日で100万枚を達成した。

「提供」と「販売」の違い

「提供」「販売」の違いは対価の有無です。

「提供」は対価の有無を問わずに使われる表現ですが「販売」は対価との引き換えが伴います。

対価なしに一方的にモノやサービスを渡す行為はは販売ではありません。

もうひとつの違いは所有権の移転です。

「場所を一時的に貸したり開放したりする行為も「提供」ですが所有権は元の所有者のままであり使用者には移転しません。

「販売」では売主から買主に対して対価の引き換えに所有権が移ります。

そのため所有権を引き渡すのにふさわしい対価として金銭など価値のあるものの支払いが必要です。

まとめ

「提供」「販売」の違いは対価の有無と所有権の移転にあります。

飲食店の場合は客が酒を持ち帰らないので所有権の移転が発生しているとは見なされず「提供」という言葉が使われます。

同じお酒でも酒屋のように買って持ち帰る場合には「販売」が使われます。

それぞれの意味を正しく理解して状況に合わせたふさわしい言葉選びを実践してください。