アフリカや東南アジアなどの小さな国々を指す言葉として「後進国」と「発展途上国」があります。
このふたつはニュースなどでもよく聞く言葉ですが具体的にはどのような違いで使い分けられているのでしょうか。
今回は、「後進国」と「発展途上国」の違いについて解説します。
「後進国」とは?
「後進国」とは、「ある分野において成長や進歩が遅れている国」を指す言葉です。
経済や文化など国としての力が他と比較して進んでいる国のことを「先進国」といいます。
進んでいる国を意味する先進国に対し、成長や進歩が遅れている国のことを「後進国」と表現します。
もともとは経済や文化など国としての総合力である「国力」が劣っている国を指す言葉として使われていましたが現在では国力だけではなく技術や文化など「特定の分野において技術が低い、考え方が古いなど成長や進歩が遅れている国」のことを指して「後進国」と表現します。
例えば、自動車が普及しておらず生産体勢や開発技術も未熟な国は「自動車後進国」と呼ばれ、環境意識が低く対策も不十分な国は「環境後進国」と呼ばれます。
このように特定の分野が何であるのかわかるように「~後進国」という形で分野を示す言葉を前につけ一語にする使い方が一般的です。
「後進国」の使い方
・後進国に技術支援を行う。
・いつまでも後進国扱いするべきではない。
・現状では後進国だが潜在的な力は相当に大きいだろう。
・世界の後進国が集まって会議を行う。
「発展途上国」とは?
「発展途上国」とは、「経済が発展途上にある国」を指す言葉です。
経済が十分に発展している「先進国」に対し「十分に経済が発展していない開発途上の段階にある国」を指す言葉が「発展途上国」です。
経済の発展は人類の繁栄に欠かせない要素です。
ある国の力や状況を計るとき経済水準はとても重要な指標となります。
経済が発展しているほど人々の生活や豊かであり発展が遅れているほど貧しいことを表します。
どの国も経済においては十分な発展を目指していますが、世界の他の国々と比べて発展が遅れていて未だに登城段階にある国をさして「発展途上国」と呼んでいます。
具体的な基準としては「ODAを受け取っている国」が「発展途上国」です。
先進国が経済発展が遅れている国々を支援するために発足した制度がODA(政府開発援助)という支援制度です。
ODAの受取りリストに記載されている国々は先進国から援助を受けている発展の遅れている国です。
一般的にはODAリストに記載されている被支援国が「発展途上国」です。
「発展途上国」の使い方
・発展途上国を支援する。
・これからのビジネスチャンスは発展途上国にある。
・食料を発展途上国に向けて輸送する。
・技術援助のために発展途上国に渡航する。
「後進国」と「発展途上国」の違い
「後進国」と「発展途上国」はもともと同じ意味の言葉です。
以前は先進国から支援されている国のことを「後進国」と呼んでいましたが、遅れている国というのはあまり良くない表現ではないかという声が上がりこれからの成長が感じられる「発展途上国」という言葉に変わりました。
現在では「後進国」は特定の分野において遅れている国のことを指す言葉として限定的な意味に変化して使われています。
まとめ
「後進国」と「発展途上国」を同じ意味だと勘違いされる人も多いですがはっきりと意味が異なる別の言葉です。
それぞれの違いを理解して正しく使いましょう。