この記事では、「返す」と「帰す」の違いを分かりやすく説明していきます。
「返す」とは?
「返す」には、いくつもの意味があります。
まず、表だったものを裏にすること、上であったものを下にすること、などといったようにものの向きや位置を反対にするといった意味があります。
そのほか、耕すという意味やもとにあった場所に戻す。
言い換えれば、「返還」や「返却 」。
変わってしまったことを元の状態に戻す。
言い換えれば、「立て直す」や「復旧」。
同等の働きかけでこちらが応えるなどといった意味があります。
「返す」の使い方
それぞれの意味に応じた使い方がある「返す」。
「裏返す」や「手の平を返す」、「棚に返す」、「借金を返す」、「恩を仇で返す」などといった使い方となります。
「帰す」とは?
「帰す」には、いくつかの意味があります。
まず、自分の家やもと居た場所に戻ることを意味する「帰す」。
言い換えれば、「帰宅」や「帰省」。
今いる場所を離れる。
言い換えれば、「立ち去る」。
野球で走者が本塁を踏んで得点になるといった意味が「帰す」にはあります。
「帰す」の使い方
それぞれの意味に応じた使い方がある「帰す」。
「子供を自宅に帰す」や「客を帰す」、「ランナーを帰す」などといった使い方となります。
「返す」と「帰す」の違い
「返す」は、もとの状態に戻すといった意味が基本となります。
裏になっているものを表に戻す場合、「返す」となります。
耕すという意味で用いる「返す」においても、田畑を元の状態に戻す行為の一環として捉えます。
一方、「帰す」は、もとの場所に戻すといった意味が基本となります。
もと居た場所に戻る場合、「帰す」となります。
このように、「返す」は、もとの状態に戻すことを意味し、「帰す」は、もとの場所に戻すことを意味する言葉となります。
「返す」の例文
・『これだけ親切にしてきたのに私のことを裏切るとは、まさに恩を仇で返すとはこのことです。』
・『そろそろ焼き上がったので、せんべいを裏返して下さい。』
・『借金を返すまで、彼女とは結婚しないと心に決めました。』
・『お言葉を返すようですが、その考え方はいかがなものかと思います。』
・『どんなことがあっても、この子だけは生きて帰すつもりです。』
・『里親として育ててきた子供を親元に帰すことが決まり、寂しい気持ちでいっぱいです。』
・『事前に連絡もなく突然我が家にやってくる姑をどのように追い帰すものかと毎回悩みます。』
まとめ
「返す」と「帰す」は、文脈に応じた使い分けが必要です。
どちらが正しいのか迷ったときは、「返す」と「帰す」のどちらの漢字を用いた言葉に置き換えることができるかを考えるとわかりやすくなります。
「返却」や「返納」、「返還」といった言葉に置き換えることができるのか。
それとも、「帰宅」や「帰省」、「帰路」などに置き換えることができるのか。
それらを踏まえ適切な使い分けが必要です。