似たような意味で違う意味を持つ言葉として「省略」と「中略」があります。
具体的にはどのような違いで使い分けられているのでしょうか。
今回は、「省略」と「中略」の違いについて解説します。
「省略」とは?
「省略」とは、「複雑な物事や文章の一部を省くこと」を意味する言葉です。
「省略」とは「省く」と「略す」のふたつで構成される言葉です。
「省く」は「重要ではないものや不要なものを取り除くこと」を意味し「略す」は「長いものを短く縮めること」を意味します。
ふたつの言葉の意味が合わさった「省略」は「重要ではない部分を取り除き短縮すること」であり、一般的にはわかりにくい部分を取り除いて理解しやすくしたり文字数に制限があるときに制限内におさめたりするときに行われます。
「省略」では全体から一部が取り除かれますが、全体からなくなるのは重要ではない部分やなくても意味が通じる箇所です。
逆に言うと「省略」が可能な物事や文章というのは不要部分や無駄な箇所があるもののみに限られます。
ギリギリまで磨き上げられてどこにも無駄な部分がない文章や完璧に構成され少しでも欠けると伝わらなくなってしまう解説など、そぎ落としても問題ない箇所がどこにもないものは「省略」できず、無理にやると意味が通じなくなってしまいます。
「省略」の方法はいろいろあります。
分かりやすくするための具体例を省く、頭文字を取って短縮する、既に皆が理解している内容は繰り返し説明しないなど元の形よりも短くあるいは少なくなっていれば「省略」です。
「省略」の使い方
・『既に理解している内容なので説明を省略する』
・『無駄な部分を省略して読みやすくする』
・『文字数制限に合わせるために一部を省略する』
・『個別の説明については省略しても問題ない』
「中略」とは?
「中略」とは、「文章などの最初と最後のみを残し途中を省くこと」を意味します。
「中略」が意味するのは「真ん中を略する」です。
長い文章があったとき「冒頭部分と結末部分はそのままにその間をカットして全体を短くまとめること」を「中略」といいます。
「中略」が用いられるのは真ん中部分を記述しなくても理解してもらえるときです。
冒頭と結末だけで意味が通じる場合以外にも既に知られている有名な文章などを記述する場合は欠かなくても内容が伝わるので「中略」されます。
引用文などでは必要な箇所以外をバッサリカットして「中略」されることがよくあります。
「中略」の使い方
・『長い文章を中略する』
・『中略した箇所に重要な事は書かれていない』
・『中略しすぎると意味が伝わらなくなる可能性がある』
・『最初と最後だけ分かればいいので大胆に中略する』
「省略」と「中略」の違い
「省略」が全体の中の一部を省くのに対し「中略」は真ん中部分を省く時のみに使われる表現です。
「中略」は「省略」の一種であり主に長い文章に使われますが「省略」は文章以外にも絵や話し言葉などさまざまな対象に使われます。
まとめ
「省略」と「中略」は似たような意味ですが明確な違いで区別されています。
全体のうちどの部分を省いているのかで使い分けられているので略し方を見てどちらの言葉がふさわしいか判断してください。