この記事では、「転写」と「複製」の違いを分かりやすく説明していきます。
DNAの不思議をひも解いていきましょう。
「転写」とは?
転写(てんしゃ)とはDNAをコピーして、mRNAをもうひとつ作っていくことです。
こうしたプロセスや、変化を転写と言いあらわしています。
生物学の分野でよく耳にする単語になります。
そもそもDNAというのは、私たちの体をつくっている設計図のこと。
とても重要な働きをしています。
新型コロナウイルスのワクチンを打つと、体内のメカニズムが変わりmRNAが生まれます。
mRNAは平たく言えば、DNAのそっくりさんのこと。
遺伝子情報が書き込まれた、第2のDNAです。
mRNAが作られることを転写といいますが、転写の働きが起きると、体内のアミノ酸が結合をはじめます。
アミノ酸同士が仲良くなることによって、新たなタンパク質がつくられます。
タンパク質には体の免疫機能をアップさせるなど、病気にかかりにくい体にととのえてくれます。
そのため人工的にタンパク質をつくること、DNAのコピーを生み出す働きが転写といいます。
「複製」とは?
複製(ふくせい)とは、DNAが細胞分裂を起こすこと。
もうひとつのDNAを、生み出していくことです。
こうした変化や状態を「複製」と呼んでいます。
生物の教科書などで、よく登場する単語です。
DNAは私たちの体の、設計図になっているものです。
複製ではこの設計図を丸ごとコピーします。
そのためどの部分をピックアップしても、元のDNAと何ら変わりがないものを「複製」といいます。
DNAはらせん階段のように、クルクルと渦巻いた形をしているので、複製がおこなわれると枝分かれのように、らせん階段がもうひとつ生まれます。
先がとがったフォークのように見えるので、複製のことを「複製フォーク」という科学者もいます。
複製がおこなわれるとき、いくつかの酵素が協力して働いています。
DNAの鎖が2つに分かれること、丸ごとコピーすることが複製です。
「転写」と「複製」の違い
どちらも生物で学ぶ言葉です。
「転写」と「複製」の違いを、分かりやすく解説します。
・物まねと本物の違い
どちらもDNAのコピーなので、紛らわしいです。
転写とはmRNAをもうひとつ作ること。
mRNAというのはDNAを真似て作られた、もうひとつの設計図です。
設計図を作りだすためには、RNAポリメラーゼというタンパク質が必要になります。
そして複製とはDNAを丸ごとコピーして、もうひとつ設計図をつくること。
そのためDNAの鎖から枝分かれしたように、もうひとつのDNAが生み出されます。
ちなみに新型コロナのワクチンは、転写の働きを応用したものになります。
まとめ
「転写」と「複製」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらもDNAのコピーをあらわした科学の原理です。
転写とはDNAの設計図をコピーして、もうひとつのmRNAを作ること。
免疫力をアップさせ、ウイルスから体を守るためにおこなわれます。
そして複製とはDNAを丸ごとコピーすること。
DNAの鎖がもうひとつできる、科学の働きです。