事業をたたむことを意味する言葉として「廃業」と「閉業」があります。
このふたつは何を基準にして使い分けられているのでしょうか。
今回は、「廃業」と「閉業」の違いについて解説します。
「廃業」とは?
「廃業」とは、「事業を自らの判断でたたみ終了させること」を意味する言葉です。
事業の終わり方にはいろいろな種類があります。
一般的には存続させる意志はあるが資金難などの理由で継続が困難になり終わってしまう「倒産」が知られていますが「廃業」も倒産と同様に事業が終わることを意味する言葉のひとつです。
「廃業」が使われるのは「事業を経営する経営者の判断で事業が終わるとき」です。
原因はさまざまですが債務不履行や不渡りなど具体的に事業継続が困難になる出来事が発生しておらず事業終了に強制的な形で追い込まれていないのに自ら事業を終わらせることを「廃業」といいます。
「廃業」するとその事業は完全に終わります。
屋号や資産などが引き継がれることはなくすべてが生産された上で事業は終了となりそれ以降の活動は一切行われません。
具体的な事業の生産方法には通常清算や特別清算、破産などの方法がありますがどのような生産方法が撮られたとしても手続きの終了を持って事業は終りを迎えることになります。
「廃業」の使い方
・『老舗レストランの廃業が決まった』
・『後継ぎが見つからず廃業する店は多い』
・『先行きの見通しが立たないので廃業を検討する』
・『今の事業を廃業して新たな事業に挑戦する』
「閉業」とは?
「閉業」とは、「再開することを前提に事業を一時的に終わらせること」を意味する言葉です。
「閉業」が意味するのは「事業は存続しているが活動はしていない状態」です。
書類登録としての事業は残っているものの実質的には事業を行わず活動実態がなくなることを「閉業」といいます。
「閉業」は一時休業であり将来的な再開の可能性を残しています。
将来的にビジネスを取り巻く環境が変わったり現状の課題が解決されたりすれば再び事業活動が再開される可能性があるのが「閉業」です。
もう一つの意味として「その日の営業を終えること」という使い方もあります。
営業時間開始とともに店を開くのが「開業」で営業終了時間を迎えて店を閉めるのが「閉業」です。
この場合も明日の再開を前提に営業開始時間を迎えるまで一時的に事業を閉めているだけなので「再開を前提とした一時休業」という本来の意味と合致しています。
「閉業」の使い方
・『雪が積もる冬の期間、山小屋は閉業している』
・『パンデミックがおさまるまで店を閉業する』
・『支援者が見つかるまで一時的に事業を閉業することになった』
・『夜は8時に閉業する』
「廃業」と「閉業」の違い
「廃業」と「閉業」の違いは「存続の可能性」です。
「廃業」はその時点で事業が終了になるため存続の可能性はありません。
「閉業」は一時的に休むだけなので将来的に事業が再開され存続する可能性が残されています。
事業が終わりなくなってしまうのが「廃業」、事業の活動は終わるが存在し続けるのが「閉業」という違いで区別されます。
まとめ
「廃業」と「閉業」はどちらも事業の終わりを意味する言葉ですが意味は大きく異なります。
どちらの言葉を使うかによって将来の可能性が変わってくるのでふさわしい言葉を用いましょう。