何気なく使っている言葉でも実はニュアンスが微妙に違っているというものは多く存在します。
今回は日常生活でも使うついつい混同しがちな2つについてご紹介致します。
この記事では「少ない」と「不足」の違いを分かりやすく説明していきます。
「少ない」とは
これは『数量や程度などが小さいという状態』を表す言葉です。
ポイントは『状態』にあります。
よく『数が少ない』や『量が少ない』という言葉を使うことがありますが、これはあくまでもどのくらい存在しているのかという状態のみにフォーカスを当てており、これだけでは善し悪しを判断することはできません。
例えば『体重は少ないほうがいい』とポジティブに『少ない』をとらえる場合もありますし、反対に『給料が少ない』というとネガティブな印象を与える表現にもなります。
つまり、『少ない』という言葉を使う対象が何になっているのかでどちらの意味にも変わることがあるのが『少ない』という言葉です。
対義語である『多い』も同じような使い方が出来るので覚えておきましょう。
「不足」とは
これは『ある一定の基準に満たない状態』を表すときに使う言葉です。
ポイントは『満たない』という部分にあります。
言い換えてしまえば『満足できない』という形にもなり、『不満』を表すネガティブな印象をもともと持っている言葉ということはできませんでしょうか。
例えば『リーダーとしての実力が不足している』というとリーダーに求められている基準と比較対象になっている人物の持っている力のギャップが存在しており、リーダーとして機能するには足りないという意味になります。
『不足』という言葉はこの単語そのものですでにマイナスの意味を持っているので、補足する文章を作る必要はありません。
『食料不足』、『燃料不足』というとそれだけで良くないイメージが頭に沸きませんでしょうか。
「少ない」と「不足」の違い
この二つは『数や度合いが小さいという状態を表す表現』か『数や度合いが基準に満たない状態』かという違いではっきりと分けることができます。
『不足』は単語のみで意味を確定させることが出来ますが、『少ない』は補足説明の必要がある言葉です。
例えば先の『体重が少ない』という表現はある人にとってはいいことですが、ある人にとっては良くない場合もあります。
「少ない」の例文
・『少ない努力で大きな成果を上げることが出来た』
・『今年のクレーム数は昨年と比べて少ないことは大きな進歩である』
・『あまりにも少ない在庫数の為、お客様の生産に支障をきたすことになってしまった』
「不足」の例文
・『資金が不足しているため、思うように投資ができない』
・『このままでは労働人口の不足で経済を維持することが出来なくなってしまう』
・『今年の水不足は農作物の収穫に多大なる影響を及ぼした』
まとめ
如何でしたでしょうか。
『少ない』も『不足』も似たようなニュアンスで使うイメージを持っていませんでしたでしょうか。
『少ない』は『状態』を『不足』は『満たないこと』を表すという明確な違いがあることがお分かりいただけたはずです。
もちろん『少ない』は形容詞、『不足』は名詞という文法上の違いはありますが、これだけでなく、言葉が持つ本来の意味をしっかりと理解して混同しないことが大切です。