「直弟子」と「愛弟子」はどちらも師弟関係にかかわる言葉ですが、意味が異なるため使い分けが必要です。
この記事では、「直弟子」と「愛弟子」の違いを分かりやすく説明していきます。
「直弟子」とは?
「直弟子」は「じきでし」と読む言葉で、「師匠からの教えを直接受けた弟子」のことを指します。
「直」には「何も間に置かない」や「じかに」という意味があり、「直弟子」のほかに「直門(じきもん)」や「直弟(じきてい)」と呼ばれることもあります。
字面から「ちょくでし」と読み間違えるケースがあるため注意が必要です。
「愛弟子」とは?
「愛弟子」は「まなでし」と読む言葉で、「弟子の中でもとりわけ師匠が期待して可愛がっている弟子」のことを示します。
「愛弟子」の「愛」には「大切にする」や「愛でる」といった意味があり、「手塩にかけて大切に育成している弟子」という意味で使用されています。
なお、「あいでし」と誤読する場合もありますが、「まなでし」が正しい読み方になります。
「直弟子」と「愛弟子」の違い
「直弟子」と「愛弟子」は双方とも習い事など師弟関係が存在する分野で用いられている言葉ですが、各々が持つ詳細な意味合いに違いがあります。
「直弟子」は「師匠が直接教える弟子」のことを意味し、師匠からダイレクトに指導を受ける弟子に対して使用されます。
一方、「愛弟子」は「師匠がとりわけ可愛がり期待している弟子」を意味し、数ある弟子の中で特に師匠から大切に育てられている弟子に対して用いられます。
「直弟子」の例文
「直弟子」は「師匠から直接指導を受ける弟子」を表す際に使用する言葉で、「~の直弟子」や「直弟子になる」などの使われ方をしています。
・『子どもの頃に聞いた落語がきっかけでA師匠の直弟子になることを決心した』
・『B師匠は高齢のため今後は直弟子をとらないとおっしゃっている』
・『三味線の教室を始めた友人が直弟子を2名とったらしい』
・『先代の若い頃には和楽器ブームがあり、うちの教室にも老若男女様々な直弟子がいた』
「愛弟子」の例文
「愛弟子」は「弟子の中でもとりわけ師匠が期待し、手塩にかけて育成している弟子」のことを表す言葉で、「~の愛弟子」や「愛弟子と舞台に出る」といった用法があります。
・『C師匠の愛弟子は技術だけでなく雰囲気や佇まいまで師匠にそっくりだ』
・『いつも真面目に稽古に取り組む愛弟子と同じ舞台に出ることを今から楽しみにしている』
・『祖父が長年苦楽を共にしてきた愛弟子さんと二人会を催すことになった』
・『ベテランのD師匠が若い愛弟子に負けてしまったが、悔しがるどころか嬉しそうに笑っていた』
まとめ
「直弟子」と「愛弟子」を使い分けるコツは、「直接指導を受けているか」や「特に可愛がられているか」といった点に着目することです。
両者の正しい意味や使い方を知って、言葉についての知識を深める参考にしてください。