「押す」と「捺す」はどちらも「おす」と読みますが、どのような基準で使い分ければいいのでしょうかこの記事では、「押す」と「捺す」の違いを分かりやすく説明していきます。
「押す」とは?
「押す」とは、「物体に触れて手前から奥の方向に力を加えること」を意味する言葉です。
物体にこちら側から向こう側に向かって力を加える行為を指します。
基本的には前向きのベクトルで力をかけたり進めたりする行為を指しますが、力を加えることで起きる物体の変化から転じて「強引に通る」「圧力をかける」などの意味でも使います。
英語の「PUSH」に当たる表現です。
奥から手前に向かって力を加える行為を意味する「引く」の反対語に当たります。
「捺す」とは?
「捺す」とは、「印影を写すため印に圧力をかける」という意味で使われる言葉です。
スタンプやはんこなどの印に色を付け紙に当てて印影を写しとる動作を「おす」と表現します。
「捺す」は印を「おす」場合に使う言葉です。
「捺」には「上から手でおさえつける」という意味があり、印を上から手で持ち力を加えて紙におし当てる様子から「捺す」という表現が用いられています。
「押す」と「捺す」の違い
「押す」と「捺す」の違いを、分かりやすく解説します。
「押す」と「捺す」の違いは「対象物」です。
どちらも対象の物体に手前から奥に向かって力を加える動作を表しますが「押す」は物体の種類を問わずに使うのに対し「捺す」は上からおさえつける動作、特に印から印影を写す動作に用いるという基準で区別されます。
「押す」の例文
・『扉を手で押す』
・『スイッチを押す』
「捺す」の例文
・『書類に印鑑を捺す』
・『契約書に判を押す前にもう一度よく読むべきだ』
まとめ
「押す」と「捺す」はもともとほぼ同じ意味の言葉で明確な使い分けの基準はありませんでしたが、現在は何を対象にするのかで区別されています。
混同しやすいので基準を覚えてきちんと使い分けましょう。