この記事では、「診療録」と「カルテ」の違いを分かりやすく説明していきます。
「診療録」とは?
医師が患者の診療経過を記録した文書を意味する言葉です。
「診療録」には、患者の個人情報、診断、治療方法、処方された薬、手術の記録、看護師の観察記録など、患者の治療に関わる全ての情報が記載されます。
また、「診療録」は、医師法に基づき、医師が患者を診療した際に遅滞なく記録を残すことが義務付けられており、これらの記録は最低5年間保存しなければなりません。
「カルテ」とは?
診療録の中でも、とりわけ医師の診察に基づく診断や治療の経過、考察などが記された文書を意味する言葉です。
「カルテ」という言葉は、ドイツ語の「Karte」から来ており、日本では明治時代にドイツから医学を学んだことに由来しています。
また、「カルテ」には、患者の主訴、既往歴、現病歴、検査結果、治療方針などが記載され、医師と患者との直接の診療活動を反映したものだと考えられます。
「診療録」と「カルテ」の違い
「診療録」と「カルテ」の違いを、分かりやすく解説します。
「診療録」と「カルテ」は、どちらも医療における重要な記録を意味する言葉ですが、その用途と範囲には違いがあります。
「診療録」は、医師が患者の診療経過を記録した文書のことです。
狭義では医師が記入するもののみを指します。
患者の個人情報、診断、治療方法、診療の年月日などが含まれます。
患者の健康管理資料、医学的基礎資料、法的証拠資料、保険請求用資料としての4つの性格を持ちます。
その一方で、「カルテ」は、診療録を含む広義の診療に関する記録の総称のことです。
手術記録や検査記録、看護記録なども含まれます。
医師や医療機関が患者の治療に関する詳細な情報を記録し、必要に応じて他の医療従事者と共有するためのものです。
まとめ
「診療録」と「カルテ」は、似たような意味をもつ言葉ですが異なる概念であり、医療現場においてはそれぞれが重要な役割を果たします。
「診療録」は、個々の医師による診療の記録に重点を置き、「カルテ」は患者の全体的な医療情報を包括的に管理するためのものと言えるでしょう。