この記事では、「バックラッシュ」と「ロストモーション」の違いを分かりやすく説明していきます。
「バックラッシュ」とは?
歯車と歯車が噛み合う部分に意図的に作られた隙間を意味する言葉です。
隙間は、遊びとも呼ばれ、機械要素がスムーズに動作するために必要な設計上の要素だと言えます。
「バックラッシュ」が最適化されていなければ、歯車の摩耗が早まったり、騒音や振動が発生したりする原因となります。
また、「バックラッシュ」が大きすぎると、動力伝達に遅れが生じ、精度が低下し、小さすぎると、歯車同士が干渉してしまい、動作が滑らかでなくなる可能性があります。
そのため、「バックラッシュ」の適切な値は、歯車の材質、サイズ、使用環境などによって異なり、基準が定められます。
「ロストモーション」とは?
機械要素が動き始める際に、動力が伝達されるまでの遅れ、もしくは動きのずれを意味する言葉です。
「バックラッシュだ」けでなく、軸のねじれ剛性や摩擦、その他の機械的なギャップによっても生じることがあります。
「ロストモーション」は、正転方向と逆転方向から位置決めを実施したときに生じる最大の誤差を測定した値で、精密な位置決めが求められるロボットアームなどの動作精度に大きな影響を与えます。
「バックラッシュ」と「ロストモーション」の違い
「バックラッシュ」と「ロストモーション」の違いを、分かりやすく解説します。
「バックラッシュ」と「ロストモーション」は、機械要素の精度に関連する重要な概念だと言えます。
「バックラッシュ」は、歯車と歯車の間に設計上必要な隙間のことです。
歯車がスムーズに回転するために必要であり、隙間がないと歯車が噛み合わず、動作が困難になる可能性があります。
しかし、隙間があることによって、歯車の方向を変えたときに、隙間分の動きが発生し、即座に力が伝わらない余地が生じます。
その一方で、「ロストモーション」は、装置全体の遊びやねじれ角を意味する言葉です。
「バックラッシュ」だけでなく、軸のねじれ剛性や摩擦など、他の要素によっても引き起こされる動きの遅れです。
「ロストモーション」は、正転方向と逆転方向から位置決めしたときの最大差を測定した値で、JIS規格で定義されます。
まとめ
「バックラッシュ」は、設計段階で意図的に設けられる隙間であり、「ロストモーション」は実際の動作時に生じる動きのずれや遅れを指すという違いがあります。
どちらも密接に関連しており、精密な機械を設計・運用する際には、これらの要素を適切に管理することが非常に重要だと言えるでしょう。