この記事では、「失調」と「失行」の違いを分かりやすく説明していきます。
「失調」とは?
運動麻痺がないか軽度で、動作や姿勢保持などの協調運動に障害がある状態を意味する言葉です。
基本的に、小脳や大脳基底核、大脳運動野など、運動制御に関与する部位の障害によって引き起こされます。
運動の協調性が低下し、不器用な動きが現れます。
姿勢保持や動作の際に手足の動きが不安定で、バランスを取りにくくなります。
また、末梢感覚器から中枢神経系への求心路、小脳・大脳基底核、大脳運動野から末梢・筋までの遠心路のどのレベルでも、運動制御が影響を受けるものと考えられます。
「先行」とは?
脳損傷の結果として、身体能力や意思があるにもかかわらず、かつて習得した運動課題を意図的に実施できなくなった状態を意味する言葉です。
基本的に、頭頂葉の損傷や、頭頂葉と他の脳部位とをつなぐ神経経路の損傷により引き起こされます。
脳卒中、脳腫瘍、外傷性脳損傷、認知症などが原因となります。
複雑な作業や単純な作業でも、実施できません。
身体的な能力はあるものの、運動を計画したり実行したりする能力が低下しています。
「失調」と「失行」の違い
「失調」と「失行」の違いを、分かりやすく解説します。
「失調」と「失行」は、どちらも神経学的症状を意味する言葉ですが、それぞれ異なる特徴を持ちます。
「失調」は、運動の実行中に調整能力が欠如する神経学的徴候のことを表現する際に使用する言葉です。
調整された運動が難しい、筋肉の協調性がない、歩行や手の動きなどの運動が不安定である、姿勢を維持できないなどの特徴が挙げられます。
その一方で、「失行」は、すでに学習された複雑で目的にかなった動作を実行できないことを表現する際に使用する言葉です。
運動を起こそうとする意欲と能力があるにもかかわらず、その課題を遂行できないことが特徴として挙げられます。
このように、「失調」は、運動の協調性の問題であり、「失行」は目的のある運動の実行に障害があることだと考えられます。
まとめ
「失調」と「失行」は、神経学的な障害によって引き起こされる症状であり、それぞれ異なる特徴を持ちます。
意味を正しく理解したうえで使い分けられるように注意しましょう。