「発行」と「交付」の違いとは?分かりやすく解釈

「発行」と「交付」の違い専門用語・業界用語

世の中には似ているようではっきりと意味が違う紛らわしい言葉がたくさんあります。

そのような言葉の例として挙がるのが「発行」「交付」です。

どちらも役所の手続きなどで耳にする表現で同じような意味だと思われがちですが、このふたつは全く違う意味を持つ別の言葉です。

今回は、「発行」「交付」ノ違いについて解説します。

「発行」とは?

「発行」とは?

「発行」とは、「書類などを作成すること」という意味の言葉です。

一般的には「公に認められたり通用したりする印刷物などを作成すること」を意味しています。

許可証や入場証など実物として印刷された物体ではなくそのものに付与された価値や効果に意味があるものを作成する際に用いられる表現です。

学校や会社、行政組織などある程度規模が大きく信用がある組織が書類などを作成するときに使われることが多い表現ですが必ずしも大きな組織だけの言葉ではなく、やや大げさな表現にはなるものの個人が書類等を作成することを「発行」と表現しても間違いではありません。

「発行」の使い方

・オリンピックを記念して記念切手が発行された。

・新入社員のために社員証を発行する ・新紙幣が発行されるのは再来年だ。

・紛失してしまった入場券を再発行してもらう。

「交付」とは?

「交付」とは?

「交付」とは、「公的機関から一般の人に対して書類や金銭などを引き渡すこと」という意味の言葉です。

公的機関にとって許可証や証明書、補助金や給付金などを受け取る権利を有する人達に引き渡すのは大切な仕事のひとつです。

そのような「書類や補助金などを行政の権限によって世に出る物品を正統な手続きのもとに一般の人に引き渡すこと」を指して「交付」と表現します。

行政機関や役所など公的機関に対してのみ使われる言葉で同じような作業を民間が行っても「交付」とは表現しません。

一般的には免許証や許可証など受け取る人間がはっきりしている相手に対して引き渡すことを意味する言葉で、より厳密に言うならば「公的機関が受給資格のある人間に対して街頭の物品を引き渡すこと」を表しています。

市報やパンフレットのような特に受給資格がなく誰でももらえるようなものを引き渡す場合は「交付」ではなく「配布」という表現が用いられます。

「交付」の使い方

・マイナンバーの交付が思ったよりも進んでいない。

・政党交付金が交付された。

・市役所で証明書の交付手続きをする。

・選挙を前に投票所の入場券が交付される。

「発行」と「交付」の違い

「発行」と「交付」の違い

「発行」「交付」の違いは「所有権の移転」です。

「発行」は書類などを作成することを指す言葉です。

新しく作り上げられたり印刷されたりすることを指しており、作成された物の所有権は問わず作り終えた段階で「発行」が成立したことになります。

「交付」は書類や金銭などを相手に引き渡すという所有権の移転を意味する言葉です。

作成者や所有者である公的機関から権利を有する者へ引き渡すことが重要であり、引き渡し予定の書類を作成したり金銭を用意するだけでなく相手の手にわたって初めて「交付」が成立します。

行政が書類を作成すると「発行」で、その作成された書類が申請者のもとに引き渡されると「交付」になります。

まとめ

まとめ

「発行」「交付」はどちらも書類申請などでよく使われる言葉で混同されがちですが、本来の意味は全く違います。

行政関係の用語はややこしいものが多いので意味をしっかり覚えて間違いがないようにしてください。