同じような熟語の中には、ニュアンスがまったく異なる用語もあります。
この記事では、「格別」と「特段」の違いを分かりやすく説明していきます。
その差を正しく知って、普段の暮らしに活かしていきましょう。
「格別」とは?
格別(かくべつ)とは、とりわけ優れていること。
ことさら秀でていることです。
他のものよりも一段高く、褒めたいときに使われます。
おもにビジネスの場で、相手の行いに「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えたいときに用います。
例えば取引先に対する言い回しとして「格別のお引き立てをいただき、ありがとうございます」があります。
さらに丁寧な言い方だと「格別のご配慮を賜りまして、ありがとうございます」になります。
どちらも信頼のおけるやり取りをしてくれた相手に、お礼の気持ちを伝える表現です。
また「格別」は、日常生活ではこのように使います。
「母の肉じゃがは格別だ」この場合はいつも食べている食事にくらべて、母親の手料理がことさら美味しく感じられること。
また「今年の紅葉は格別だ」というと、例年にくらべて紅葉が美しいという意味になります。
いつもと比べて、優れているのが「格別」です。
「特段」とは?
特段(とくだん)とは、特別であること。
普通のものではないことです。
こちらも仕事の現場で、よく聞くフレーズです。
お礼を伝えるとき、注意してほしいとき、色々なシーンで用いることができます。
「特段」のベーシックな言い回しとして「特段のご配慮をいただき、ありがとうございます」があります。
これは労ってくれた相手に対する、感謝の気持ちを伝える表現です。
また「特段」には「特段の事情」という、独特な表現もあります。
例えば「特段の事情をのぞき、ご遠慮いただいております」だと「特別に考慮しなければいけない重要な事項をのぞいて、ご遠慮いただいています」という訳になります。
「特段」には「他のものとはステージが異なる」という意味で用いられます。
そのため良い意味と悪い意味を両方ふくんでいます。
「特段、人出は多くありません」などのように、否定の言葉とセットで用いられる場合もあります。
「格別」と「特段」の違い
どちらも「並はずれている」という意味があります。
「格別」と「特段」の違いを、分かりやすく解説します。
・手放しで喜びたいときは「格別」
「格別」と「特段」は、ありきたりや平凡では無いものに使います。
他と比べて、段違いな状況をあらわします。
どちらも似ていますが、手放しで褒めたいときは「格段」を。
「特段」は地震の観測などで「特段の変化は認められません」と用いるように、平常時との変化をあらわす場合もあります。
喜ばしいときは格別。
平時と比べたときの「移り変わり」が特段です。
まとめ
「格別」と「特段」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらもビジネスの場では、相手にお礼を伝えたいときに使います。
ただ「格別」と「特段」には細かな違いも。
「格別」は特別に優れていること。
いい意味で用います。
特段は「特段の事情」のように「特別に考慮しなければいけないもの」として慎重に扱われることもあります。
違いを知って、その場にあう文を組み立てていきましょう。