「たいこう」を漢字に変換するとき、「対抗」なのか「対向」なのかで迷った経験はないでしょうか?
読みも同じであり、何となく意味するところも同じように感じる言葉同士ですが、違いや使い分けはあるのでしょうか?
この記事では、「対抗」と「対向」の違いを分かりやすく説明していきます。
「対抗」とは?
「対抗」は以下の意味を指す言葉です。
・「勝利をかけて、お互いに争うこと」や「お互いに張り合うこと」
・「私法上、当事者の間で効力が生じた法律上の関係を第三者に向けて主張すること」
・「競馬や競輪などにおいて、本命と優勝争いをすると予想される馬や選手」
「対」という字は「相手」という意味を含み、「抗」という字は「抗(あらが)う」とも書き、「張り合う」や「手向かう」、「逆らう」という意味を含みます。
「対抗」は文字通り「相手と張り合うこと」や「相手と手向かうこと」を表した言葉です。
類義語として「対戦」や「対決」、「対立」、「競争」などがあり、対義語として「協力」や「提携」、「本命」などがあります。
また、英語では“opposition”などに訳されます。
「対抗」の使い方
・『ライバル会社の新サービスに対抗して、うちの会社でも新サービスの提供を開始した』
・『彼は幼い頃より兄に対して、対抗意識を抱いていた』
・『オンラインゲームのチーム対抗戦イベントは予想以上の盛り上がりを見せた』
「対向」とは?
「対向」は「お互いに向き合うこと」を意味する言葉です。
類義語として、「対面」や「相対する」、「差し向かう」などがあります。
また、英語では“counter”や“face”などに訳されます。
「対向」の使い方
・『自分の身の丈以上の相手を前にしても、彼は臆せず対向した』
・『対向車が右折しようとしていたので、パッシングして道を譲った』
・『自動車を運転する際は、対向車線を越えないように注意しなければならない』
「対抗」と「対向」の違い
「対抗」・「対向」いずれも同じく「たいこう」と読みますが、「対抗」は主に「相手と争うこと」や「相手とお互いに競い合うこと、張り合うこと」を意味します。
一方、「対向」は「お互いに向き合うこと」を意味するため、2語は同音異義語の関係になります。
また、「対抗」は比較的、日常会話でも使用されることが多いですが、「対向」は「対向車線」をはじめ、専門用語に用いられることが多く、日常会話で使用される例は少ないようです。
まとめ
・「対抗」は主に「勝利をかけて、お互いに争うこと」や「お互いに張り合うこと」を意味する言葉です。
・「対向」は「お互いに向き合うこと」を意味する言葉です。
どちらも同じ読みで、かつ似たような意味を指しているため、混同しがちになりますが、れっきとした同音異義語です。
「抗」=「張り合うこと」、「向」=「向かい合うこと」といったように、使用する際は漢字を目安にしっかりと使い分けるようにしましょう。