「しりぞく」というニュアンスの言葉は、いくつかあります。
この記事では、「退任」と「退官」の違いを分かりやすく説明していきます。
その場にあった言い回しを使っていきましょう。
「退任」とは?
退任(たいにん)とは、これまでのポストを辞めること。
与えられた役職を去って、新しい人にバトンを受けわたすことを示します。
「退任」とよく似た言葉に「退職」があります。
退職は「仕事そのものを辞めること」をあらわすので、会社の定年退職などに使います。
一方で退任は「役職を辞めること」を伝える言葉。
そのため「CEOの退任」や「会長職の退任」などと用います。
今後もその企業と接点があることを匂わす、ふくみのある言い回しです。
「退任」はこのように使っていきます。
「野球チームの監督が、退任会見をおこなった」そして「市長の職を任期満了で、退任することを明らかにした」「大手ゲームメーカーの社長が退任した」などがあります。
監督、市長、社長などの重要ポストを辞めることが「退任」です。
「退官」とは?
退官(たいかん)とは、官職をしりぞくこと。
官職は「国家公務員」のことなので、退官には「公務員を辞める」という意味があります。
また公務員以外にも「大学の教授を辞めること」を退官と呼んでいます。
偉い人がおごそかに、職場を去っていくことが退官です。
「退官」は永田町ではなじみのある表現ですが、一般企業ではあまり使われない表現になります。
一般企業では「会社を辞めること」は退職や退社といいます。
これに対して、役人が公務員を辞めることは「退官」といいます。
定年になって辞めることを「定年退官」。
病気や早期リタイアによって、自主的に辞めることは「依願退官」になります。
「退官」はこのように使います。
「総理の秘書官として7年間奉公したあと、退官をいたしました」「大学教授の退官祝いに、胡蝶蘭の鉢植えを送った」このように退官は、公務員や大学教授が辞職することをあらわした言葉です。
「退任」と「退官」の違い
どちらも「退」がはいっているので、紛らわしいです。
「退任」と「退官」の違いを、分かりやすく解説します。
・一般企業は「退任」公務員は「退官」
「退任」とは、就いていたポストから離れること。
社長やCEO、野球チームの監督業を辞めることです。
一般企業やスポーツチームの交代劇でつかわれる表現になります。
そして「退官」とは、公務員の職を辞めること。
大学教授が退職することもあらわします。
一般企業で使われるのが「退任」。
公務員や教授など限られた分野でつかわれるのが「退官」です。
まとめ
「退任」と「退官」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらも辞任をあらわす言葉です。
「退任」は特定のポストを辞めて、新しい人に譲り渡すこと。
社長の退任、監督の退任などと用います。
また「退官」は公務員を辞めること。
大学教授の引退にもつかう表現です。
その場にあった言い回しを、スマートに覚えていきましょう。