「殺人予備罪」と「殺人未遂罪」の違いとは?分かりやすく解釈

「殺人予備罪」と「殺人未遂罪」の違い専門用語・業界用語

殺人に関連する法律として「殺人予備罪」「殺人未遂罪」がありますが、この2つは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、「殺人予備罪」「殺人未遂罪」の違いについて解説します。

「殺人予備罪」とは?

「殺人予備罪」とは?

「殺人予備罪」とは、「人を殺す目的で具体的に計画を立案したり準備をしたりする罪」を指す言葉です。

「殺人予備罪」は刑法第201条によって禁じられている犯罪行為で、刑罰は1月以上2年以下の懲役と定められています。

「殺人予備罪」「予備罪」とは「犯罪の実行を目的に行われる準備行為」を指す法律用語です。

犯罪の中には実行するために事前準備が行われることがあります。

殺人であれば凶器を入手したり被害者を誘い出したり逃走用の車を用意したりなど「犯罪を達成するために行われる事前準備」「予備」といいます。

「予備罪」とはそのような「予備」を犯罪として取り締まる法律です。

「殺人予備罪」とは「殺人を目的として事前準備を行う罪」を指します。

具体的にどのような行為が「予備」に当たるのかはケースによって異なります。

ほかの目的もないのに毒物を入手していれば殺人のための準備である可能性は高いですが、包丁など凶器としても使える日用品を購入しただけで即「予備」と認定されることはありません。

「殺人予備罪」が成立するためには主観的に殺人を達成するという目的を客観的に証明する必要があります。

手口を記した計画書や共犯者の証言など「殺人を行うという主観的な意思」「殺人を達成可能にする手段」の両方がそろって初めて「殺人予備罪」が成立します。

「殺人予備罪」の使い方

・『殺人予備罪で逮捕状を請求する』
・『有力な証拠を集めて殺人予備罪で有罪に持ち込んだ』
・『殺人の企てをいち早く察知し、殺人予備罪で操作を開始する』
・『犯人がミスをしなければ殺人予備罪の証明は難しかっただろう』

「殺人未遂罪」とは?

「殺人未遂罪」とは?

「殺人未遂罪」とは、「人を殺そうという明確な意志を持って実行したが結果的に殺せなかったときに問われる罪」を指す言葉です。

「殺人未遂罪」は刑法第203条によって禁じられている犯罪行為で、刑罰は死刑または無期懲役または5年以上20年以下の懲役と定められています。

「犯罪を実行したが達成に至らなかった」ことを法律用語で「未遂」といいます。

簡単にいえば「犯罪を実行しようとしたが成功しなかった」のが「未遂」であり、日本の法律では「未遂」も犯罪として処罰の対象になります。

「殺人未遂罪」「未遂に終わった殺人を問う罪」なので人は死んでいませんが「殺人罪」に準じた扱いとなります。

「殺人未遂罪」の使い方

・『殺人未遂罪を問う裁判を傍聴する』
・『殺人未遂罪か傷害罪かで意見が分かれる』
・『正当防衛を主張したが認められず殺人未遂罪で有罪判決が下された』
・『弁護士と相談し殺人未遂罪で告発する』

「殺人予備罪」と「殺人未遂罪」の違い

「殺人予備罪」と「殺人未遂罪」の違い

「殺人予備罪」「殺人未遂罪」の違いは「殺害行為を実行しているか」です。

「殺人予備罪」は殺人の準備をしたことに対する罪です。

事前準備や計画はしているものの具体的な殺害行為はまだ実行していません。

「殺人未遂罪」は命を奪っていないが殺害を実行したことに対する罪です。

被害者を襲うなど具体的に殺害しようと行為に至っています。

人を殺すための直接的な手段に出る前の罪が「殺人予備罪」、直接的な手段に出た後の罪が「殺人未遂罪」という違いがあります。

まとめ

まとめ

「殺人予備罪」「殺人未遂罪」ではそれぞれ構成要件が異なります。

混同しないよう正確に理解してください。