公務員の世界は、独特の雰囲気を持ち、一般企業とは違う制度や用語が常識となっています。
例えば、文字を見ただけでは意味がわからない「供覧」というのは一般的な「回覧」と同じような意味の言葉で、チームや課内で共有すべき文書を回して読むことです。
また、「分限処分」というのも公務員でしか使われない言葉で、何らかの理由で担当業務を継続できない人に対して行われる処分です。
では、この「分限処分」とはどういう意味なのでしょうか。
また、同じような意味の「懲戒処分」とはどう違うのでしょうか。
この記事では、「分限処分」と「懲戒処分」の違いを分かりやすく説明していきます。
「分限処分」とは?
「分限処分」とは、公務員法で規定されているもので、「勤務実績や心身の故障によって職務を全うできなくなっている職員に対して下される処分」です。
処分の内容としては、降給、降任、休職、免職があります。
もともと「分限」という言葉が、「身分や立場」を表す物であったのが、特に公務員においては「身分に関する規律」を示す用語として使われるようになったことからできた言葉です。
この処分は、「公務員としての職務を全うすることができないので、他の企業で働く方が良い」という考え方に基づいています。
「懲戒処分」とは?
「懲戒処分」とは、公務員、および一般の企業でも行われている「職務遂行や企業体に大きな悪影響を与えた人物に対する懲罰のための処分」のことです。
公務員法に規定されている処分としては、戒告、減給、停職、降任、免職があり、一般企業に関しても同様の規定が設けられています。
「分限処分」と「懲戒処分」の違い
「分限処分」と「懲戒処分」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つは、「職務遂行上の何らかの問題がある人に対して下される処分」であることは同じですが、根本的な違いがあります。
それは、「分限処分」が「懲戒処分」のような懲罰ではないということです。
そのため、「分限処分」の結果として退職したとしても規定通りの退職金が支払われます。
「懲戒解雇」の場合には、ほとんどの場合退職金は支給されません(就業規則にそのように記載されている場合)。
この2つの処分に関しては多くの国の機関や地方自治体等において定期的に下された処分の発表が行われています。
「分限処分」の例文
「分限処分」の例文は以下のようになります。
・『分限処分を受けた職員は退職、あるいは休職扱いになり、事実上公務員ではなくなります』
・『分限処分は公務員としての職務への適格性が無いと判断された場合に行われます』
「懲戒処分」の例文
「懲戒処分」の例文は以下のようになります。
・『懲戒処分にはさまざまな段階があり、懲戒の理由によって決定されます』
・『懲戒処分は一般企業の社員にも公務員にも行われる処分です』
まとめ
この記事では、「分限処分」と「懲戒処分」の違いを、解説してきました。
これらの用語に関しては、ここまで公務員の世界での用語として説明してきました。
特に、「分限処分」に関しては、一般の企業ではありえない考え方なので、理解するのが困難かもしれません。
これは、公務員が公に仕える仕事をしているという認識があるため、「公に仕える」ことができない状況が想定されるということからきているのでしょう。
その場合は「他にあなたに向いている仕事があるのではないでしょうか」という意味で「分限処分」を下すわけですが、処分されたということは本人の意思に反しているわけですし、その人にしてみれば「辞めさせられた」と事実上変わらないとも言えます。
この辺りが公務員の独特なところなのでしょう。