この記事では、「部屋子」【へやご】と「弟子」【でし】の違いや意味、例文を分かりやすく説明していきます。
「部屋子」とは?
歌舞伎の世界でよく使われている「部屋子」【へやご】は、子供の頃からベテラン俳優の楽屋で鏡を並べて、化粧の仕方や着物の着方、カツラの被り方など役柄に合う姿にするためのコツや工夫を学びつつ、台詞を覚えたり、役の演じ方など幅広く幹部俳優から学びます。
しつけにも厳しい「部屋子」では、先輩俳優へ挨拶の仕方を教わり、実際に楽屋へとまわっていくわけです。
将来は立派な役者になるため幹部候補生として手厚く専門的な教育を受けるのは家族でなくても素人でもよく、役者としての見込みがあれば「部屋子」として預けられ、学ぶ機会を与えられるわけです。
「弟子」とは?
師につき、専門的な伝統や技芸を受けて学ぶ人を「弟子」【でし】と呼び、職人の技術を学び、芸事のを学んで身に付けることが目的です。
修行して学ぶか、勉強して学ぶため師範や師匠に「弟子入り」して学ぶのが目的であり、教えられる側がこれから時間をかけてしっかり学び、身に付けることが大事なわけです。
将来は独立して、仕事に就こうと学んだことをしっかり再現し、職人として立派にその才能を発揮して、素晴らしい作品を世の中に出せるようにするだけではなく、自分が持つ感性を磨き、技術力を発揮できるように学ぶのもこの「弟子入り」してから備わることです。
「部屋子」と「弟子」の違い
「部屋子」と「弟子」の違いを、分かりやすく解説します。
主に、歌舞伎界で使われている「部屋子」は幹部候補になるため幹部の元へ子供の頃から預けられて演技指導を受けたり、化粧や着物の着方を学びます。
将来は立派な歌舞伎役者を目指し、話し方や演技についてしっかり学ぶ環境が整います。
一方の「弟子」は、師と呼ばれる知識がある者から職人として立派に育つまで専門知識を身に付けるため中学校を卒業した後一緒に寝泊りして、何年もかけて腕を磨くのが目的であり、技術や武芸だけではなく、宗教、学問など幅広い分野に「弟子入り」して、その専門的なことを吸収して身に付けて、将来に役立てます。
「部屋子」の例文
・『野球の世界でも先輩に教えを請うため部屋子する選手がいる』
もっと腕を磨くため野球界では部屋子入団すると取り上げるときに使われます。
・『親元で暮らす部屋住みの成長した者も部屋子と呼ぶ』
親から自立できずに部屋に住み、暮らしている人のことも「部屋子」と呼びます。
「弟子」の例文
・『女性であっても教えを受けるのであれば弟子と呼ぶ』
弟と書くので、男性だけが対象と思っている人もいますが、女性であっても教えられる方は「弟子」と呼ぶわけです。
・『意見が合わないと感じれば別の流派を立てて、新たに学んだ教えを発展させる弟子もいる』
いくら教えてくれた師範のありがたい教えであっても、自分が持つ考えとは違うなと感じれば別の流派を立てて、新たに発展させてより個性的なもの、独創的なものへ発展させる「弟子」もいます。
まとめ
教える者の部屋に住みながら芸を磨き、挨拶の仕方も教わるのが「部屋子」であり、立派な役者になるため作法から演技の仕方について一から学び、身に付けることが目的ですが、「弟子」は技術力を身に付けたり、習得して独り立ちしていくと覚えておくといいでしょう。