職を離れることを表す言葉として「任期満了」と「退職」という表現があります。
どちらも日常で使われる言葉ですが違いはどこにあるのでしょうか。
今回は、「任期満了」と「退職」の違いについて解説します。
「任期満了」とは?
「任期満了」とは、「あらかじめ決められていた就任期間を全うすること」を意味する言葉です。
仕事や役職には期限が決められている有期契約と期限が決められていない無期契約の2種類があります。
「任期満了」とは「就任時点で契約期間が定められている有期契約において契約期間いっぱいまで勤めあげること」を指す言葉です。
一般的に「任期満了」という言葉は国会議員や都道府県知事など政治家に対して使われる機会が多い表現です。
国会議員を例に上げると参議院なら6年、衆議院なら4年とあらかじめ期間が定められています。
就任期間の最後まで議員の職を続けてから契約最終日を迎えて議員の身分を離れるのが「任期満了」です。
政治家の場合は任期いっぱいまで勤めあげる以外にも職を離れる可能性があることからその他の辞め方とは明確に区別する意味で使われるのが「任期満了」という表現です。
例えば衆議院議員の任期は4年ですが内閣総理大臣は自らの判断で衆議院を解散する権利を有しています。
衆議院が解散されると衆議院議員は「任期満了」を待たず議員を辞めさせられてしまいますし、都道府県知事の場合も衆議院議員と同じくリコール手続きにより任期途中で失職する可能性があります。
解散やリコール、罷免など任期を全うせず辞めるのではなく期限いっぱいまで勤めあげることを指す言葉が「任期満了」です。
政治家に多く使われる表現ですが任期の定められている役職や立場であればどんな人にも使えます。
「任期満了」の使い方
・『衆議院の任期満了に伴い選挙が行われる』
・『任期満了まで後2年ある』
・『任期満了を迎える前に具体案を作成しておかなければならない』
・『任期満了で退職した人の後任がやってきた』
「退職」とは?
「退職」とは、「職についていたものが仕事を辞めること」を意味します。
一般的には「企業に雇用されていたものが労働契約を終了し所属を離れること」を「退職」と表現します。
個人事業主や経営者など雇用されていない働き方の人はあまり「退職」という表現を用いませんが「引退して職を離れる」という意味で使われることもあります。
「退職」は辞める理由や辞め方を問いません。
新しい仕事に転職するために辞めるのもケンカ別れで飛び出す場合も「退職」です。
基本的には「自らの意思で仕事を辞めること」を意味する言葉なので懲戒免職などまだ働き続けたいのに強制的に契約を打ち切られてしまう場合は「退職」という表現は使わず「失職」などの言葉が用いられます。
「退職」の使い方
・『独立するために会社を退職する』
・『自己都合退職で会社を辞める』
・『退職するのでお世話になった人達にあいさつする』
・『経営再建を目的に希望退職を募る』
「任期満了」と「退職」の違い
「任期満了」が有期契約において期間いっぱいまで勤め上げて職を離れることを意味するのに対し、「退職」は理由にかかわらず仕事を離れることを意味します。
「任期満了」も「退職」の一種です。
まとめ
同じ仕事をやめることを意味する言葉でも「任期満了」と「退職」では意味合いが異なります。
どのような理由で辞めたのかに注目してふさわしい表現を使い分けてください。