この記事では、「難燃」と「防炎」の違いを分かりやすく説明していきます。
「難燃」とは?
「難燃」とは最初から火が燃え移りにくい、または燃え移ることがない性質を持った物を指します。
たとえば石や鉄などの鉱石類はその多くが燃えない「難燃」性の物質です。
ただ火が燃え移りにくいだけではなく、火による高温の影響で変質しにくいことも「難燃」の条件になっていることもありますし、そういった定義で「難燃」と呼ぶ場合、変質するまでの時間によっては不燃と呼ばれる物もあります。
ただし「難燃」性の物質は必ずしも高温での変質が起こりにくいとは限らず、高温にさらされるとひび割れを起こすなどの劣化が起きる物体であっても、火が燃え移りにくいなら「難燃」です。
「難燃」性を持つものは自然界にあるものも多いですが、人が何らかの目的を持って作り出した物体も少なからずあり、人々の生活や作業に役立てられています。
「防炎」とは?
「防炎」とは何らかの方法で火が燃え移りにくい性質を持たせたものです。
燃えやすいものを燃えにくくしたものも、元からある程度燃えにくいものをより燃えにくいように加工した物も「防炎」と呼ばれます。
ただ燃え移りにくいだけでなく、火が燃え移っても延焼して大きな炎になりにくいように加工されていることも「防炎」の重要な要素です。
たとえば麻は火が燃え移りやすい布の素材ですが、「難燃」性の物質をスプレー状にして吹き付けるなどで火が燃え移りにくくしたり、もし燃え移っても直接火が当たってた部分だけが燃え、燃え広がらないように加工されているものもあります。
こういった物が火元近くで着用されるエプロンなどに使われる、「防炎」性の麻です。
麻に限らず火元の近くで着用される衣服であったり、火に近寄る可能性があるものの引火の可能性がある物は、安全性のために「防炎」加工されているものが多くあります。
「難燃」と「防炎」の違い
「難燃」と「防炎」の違いを、分かりやすく解説します。
最初から燃えにくい性質を持っている物が「難燃」で、燃えにくくなるように加工された物が「防炎」です。
「難燃」は元々燃えにくい物質ですが、「防炎」は元々が燃えにくい物質かどうかは関係ありません。
「難燃」は他の何かの力を借りずとも燃えにくい物質ですが、「防炎」は「難燃」物質の性質を借りて、火に強い性質を得ている物が多いです。
また「難燃」は単純に燃えにくいという性質だけを指すことにも使われますが、「防炎」はなんらかの加工によって「難燃」の性質を付与、あるいは強化されたものという意味で使われます。
まとめ
どちらも燃えにくいという点では共通していますし、「難燃」性の物が更に「防炎」加工されているという場合もあり、紛らわしくて違いがわからないと思うかも知れません。
ですが元々燃えにくい「難燃」と、燃えにくいように加工されているという「防炎」で、使い分けの基準ははっきりしています。