近所を散歩していると、古い家があったところがいつの間にか更地になっているのを発見することがあります。
次に見た時にはそこに「建築計画」という名前の立て札が立っており、そこには建築する建物の名称や建設業者の名前や、大きさ等の情報とともに、着工予定日と完成予定日が書かれています。
この「建築計画」は、実は中高層建築物の紛争予防条例によって記載される内容や近隣の居住者に知らせるために掲載が義務付けられているものなのです。
さて、ここで出てきた「着工」とはどういう意味でしょうか。
また、同じような場面で出てくる「竣工」とはどう違うのでしょうか。
この記事では、「着工」と「竣工」の違いを分かりやすく説明していきます。
「着工」とは?
「着工」とは、文字通り「工事に着手する」という意味の言葉で、道路や建物などの工事を開始することを示しています。
「着工」が何かに関しては建築基準法で決められていて、事前に行う地盤の調査、地盤を慣らしたり、地鎮祭をするのは「着工」には当たりません。
通常は杭を打つことが「着工」であるケースが多いでしょう。
「着工」のためには事前に担当行政機関に対して「確認申請」が必要になります。
「竣工」とは?
「竣工」とは、「竣」という文字が「完成する」という意味を持っているので、合わせると「工事が完成する」ということを表します。
予定されていた工事の作業が全て終了したことを意味する言葉で、多くのケースではこれを記念して関係者を集めて「竣工式」が行われます。
「着工」と「竣工」の違い
「着工」と「竣工」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は、工事のフェーズにおける最も重要な局面を表したものです。
違いとしては明確で、工事のスタートが「着工」で、ラストが「竣工」ということになります。
それぞれの局面においては建築上の特徴的な作業があり、それによってそれぞれの局面を迎えることが全ての関係者に周知されることになります。
その作業に関しては言葉の説明に記載した通りです。
「着工」の例文
「着工」の例文は以下のようになります。
・『この工事現場では着工予定日を過ぎているのに何も行われていないようです』
・『古い建物の解体作業がある場合には、その作業の開始が着工と扱われるケースもあります』
「竣工」の例文
「竣工」の例文は以下のようになります。
・『竣工近くになると、さまざまなタイプの業者が作業を行うフェーズになっています』
・『竣工式の中では、テープカットが行われることが多いです』
まとめ
この記事では、「着工」と「竣工」の違いを、解説してきました。
これらの用語は建設業界に特有の物です。
このような用語はこれ以外にもたくさんあり、建設の段階を表す言葉だけでも、施工、起工、定礎、完工、落成などの多くの表現があります。
さらに日常的な作業においても、アンコ、手子、出面、猫、ふかしなどは独特の用語です。
これらは、ほぼ建設業界でしか使われない言葉なので、この業界に関わっていなければ字面だけではどんな意味なのかわからないものもたくさんあるでしょう。
これは、もともと建築業で働く職人たちがそれぞれのコミュニティでの徒弟制度のなかで生まれてきたものと言えるでしょう。