同じ「私」を用いた言葉。
「私事」と「私議」。
この記事では、「私事」と「私議」の違いを分かりやすく説明していきます。
「私事」とは?
「私事」は、「わたくしごと」または「しじ」と読みます。
意味は、公的ではなく、自分個人に関係している事柄といった意味があります。
私自身に関係していること、私生活、といった意味となり、「私事」を用いる場合は、個人的なことなので公にするつもりはない、したくはない、秘密にしている、といった意味が含まれます。
「私事」と同じような意味を持つ言葉には、「自己都合」や「一身上の都合」、「個人的な事情」、「家庭の事情」、「プライベート」などがあり、対義語は「公事」です。
「私事」の使い方
「自分自身の都合で」といった使い方が多くなる「私事」。
そのため、「私事ですが」や「私事で恐縮ですが」、「私事になりますが」、「私事で申し訳ありませんが」などといった形で用いられることが多くなります。
「私議」とは?
「私議」は、「わたくしぎ」または「しぎ」と読みます。
意味は、自分ひとりの意見や個人的な意見となります。
その意味から通常、「私個人のこと」といった意味で用いられています。
日常会話などで用いられる言葉ではなく、少しかしこまった場所で、「私個人のこと」といった意味で「私議」が用いられています。
「私議」と同じような意味を持つ言葉には、「プライベート」や「個人の事情」、「個人的な都合」などがあります。
「私議」の使い方
かしこまった場所で用いることとなる「私議」。
退職届などで用いることが多く、「私議、恐れ入りますが」や「私議、退職いたしました」などといったように会話ではなく、文章で用いられる言葉となります。
「私事」と「私議」の違い
「私事」も「私議」も、個人的なこと、といった意味では同じ意味を持つ言葉です。
そのうえで、日常的に用いられる言葉が「私事」。
かしこまった場所で用いられる言葉が「私議」といった違いがあります。
また、「私事」は口語表現として用いられることが多くなりますが、「私議」は文語的に用いられる言葉といった違いがあります。
同じ意味を持つ言葉ですが、用いる場面などに応じて使い分けるといった違いがあります。
「私事」の例文
・『私事で大変、恐縮ですが、その日は有休を頂いているため対応させて頂くことができません』
・『私事ですが、この度、結婚することになりました』
・『この日は、私事で早退させて頂きたいのですが大丈夫でしょうか』
・『この度は、私事にあなたを巻き込んでしまい、本当に申し訳ないと思っています』
「私議」の例文
・『私議、一身上の都合で、今月いっぱいで退職させて頂きます』
・『私議、この度、部長に昇進させて頂きました』
・『私議、来月から○○支店に異動となりました』
・『私議、来月より新規プロジェクトのリーダーを就任させて頂きます』
まとめ
以上が「私事」と「私議」の違いです。
場面に応じて、的確に使い分けることが求められる言葉となります。