健康保険、社会保険に関しては、様々な制度や決まりがあり、一般の従業員が知らない間に雇用主は常時必要な手続きを行っています。
これらの手続きは通常は企業の経理や総務担当者の中でも一部の人しか絡まないことなので、詳しく知っている人は少ないでしょう。
そんな手続きの一つが算定基礎届や月額変更届です。
これらはどういう意味で、どんな違いがあるのでしょうか。
この記事では、「算定基礎届」と「月額変更届」の違いを分かりやすく説明していきます。
「算定基礎届」とは?
「算定基礎届」とは、雇用している健康保険、社会保険の被保険者の「標準報酬月額を年一回見直した上で届ける」ことを言います。
標準報酬月額とは、その人の給料、賞与、手当等を含めた額を月額にしたものを基準に決められます。
その額によって等級が決定され、その等級によって月々の保険額が決められます。
このことを「定時決定」と呼びます。
時期は7月で、算定は直前の3ヶ月の報酬をベースに行われます。
「月額変更届」とは?
「月額変更届」とは、雇用している健康保険、社会保険の被保険者の「標準報酬月額が大幅に変化した場合に届ける」ものです。
通常は前述の「定時決定」以降において、昇給や降給などにより、3ヶ月の報酬の平均がそれまで届けていた標準報酬月額と2等級以上の差異があることがわかった時点で届け出る必要があります。
この変更を行うことを「定時決定」に対して「随時決定」と呼びます。
「算定基礎届」と「月額変更届」の違い
「算定基礎届」と「月額変更届」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つは、企業の担当者が行う従業員の年金の基準額に関する届出であることは同じですが、大きく違うのは届ける理由とタイミングです。
前述のように「算定基礎届」とは年1回の見直しのタイミングで従業員の報酬の基礎額を届けるものですが、このタイミングで必ず届ける必要があるものです。
それに対して「月額変更届」は昇給や降給などで従業員の基準額の等級に大幅な変更があったタイミングで遅滞なく届けるものです。
「算定基礎届」の例文
「算定基礎届」の例文は以下のようになります。
・『算定基礎届は、年一回の定時決定の結果として必ず届け出るものです』
・『算定基礎届を提出するのは雇用主の責任です』
「月額変更届」の例文
「月額変更届」の例文は以下のようになります。
・『月額変更届は、随時改定の結果として届け出るものです』
・『月額変更届は、雇用主の名前で管轄の日本年金機構に提出されます』
まとめ
この記事では、「算定基礎届」と「月額変更届」の違いを、解説してきました。
この記事で説明してきた内容は管轄の機関である日本年金機構が公表している情報をもとにしています。
この日本年金機構とは公的な年金に関わる業務を行っている特殊法人で、ここで働いている人は公務員ではありません。
ここが他の公的機関と大きく違うところです。