何かを譲ることを意味する「譲与」と「譲渡」。
この記事では、「譲与」と「譲渡」の違いを分かりやすく説明していきます。
「譲与」とは?
譲り与えると書く「譲与」には、財産や権利などを譲り与える、つまり、対価なしで他人に渡すといった意味があります。
中世日本においては、相続する際、所領や財産などを分配することを意味しています。
「譲与」において、最も大切なポイントはタダで財産や権利を他人に渡すことです。
何一つ見返りを求めないものが大前提となります。
このような意味から「譲与」は、「渡す」や「放棄」、「譲り渡す」、「与える」、「引き渡す」などと言い換えることができます。
「譲与」の使い方
「譲与」は、「譲与する」や「譲与される」、「譲与が開始される」などといった使い方のほか、「譲与地域」や「譲与税」、「財産譲与」、「譲与方法」などといった言葉もあります。
「譲渡」とは?
譲り渡すと書く「譲渡」には、権利や財産、法律上の地位などを譲り渡すといった意味があります。
この場合の「譲り渡す」行為において、対価の有無は問いません。
「譲渡」の場合、無償で譲り渡すことも「譲渡」。
有償で譲り渡すことも「譲渡」が用いられます。
このような意味から「譲渡」は、「受け渡し」や「引き渡し」、「譲り渡す」などと言い換えることができます。
「譲渡」の使い方
「譲渡」の場合、「譲渡する」や「譲渡される」、「譲渡を行う」などといった使い方のほか、「譲渡契約」や「事業譲渡」、「譲渡証書」、「譲渡権」、「譲渡登記」などといった言葉もあります。
「譲与」と「譲渡」の違い
どちらも、譲る行為を表す言葉ですが、そこに対価を伴うか、伴わないか、といった違いがあります。
「譲与」の場合、完全に無償で行うこととなり、一切の対価を受け取ることはありません。
それに対し、「譲渡」の場合は、対価を受け取る場合も受け取らない場合も用いることができ、単に「譲渡」という言葉だけでは、そこに対価が生じているのか、生じないのか、わからないものとなります。
「譲与」の例文
・『今回、国に自分が持つ土地の一部の所有権を譲与することに決めました』
・『行けなくなった映画のチケットを友人に譲与しました』
・『財産を譲与する方法を検討する』
・『父から譲与された会社の権利は、私が責任を持って大切にさせて頂きます』
「譲渡」の例文
・『今回、他者に特許の譲渡を行うことになった』
・『借地権の譲渡を受け、そこに家を建てることにしました』
・『このまま、第三者に譲渡することは悔しいが、会社を守るためには仕方がない』
・『今回、株式の譲渡を子供たちに行いました』
まとめ
以上のように「譲与」と「譲渡」を使い分ける際には、対価の有無を確認し、そのうえで適切に使い分けが必要あります。
「譲与」の場合は、必ず無償で、「譲渡」の場合は、どちらでも使用することが可能です。