この記事では、「固着」と「癒着」の違いを分かりやすく説明していきます。
「固着」とは?
「固着」の主な意味は2つあります。
ひとつは、他のものにくっついて、容易には取れないさまです。
衣服に油がくっついてしまいました。
何日もそのまま放置していると、洗濯をしても油汚れは落ちなくなります。
他のものにしっかりとくっついてしまったのです。
接着剤を紙に貼りつけ、それを壁にくっつけると、紙と壁がしっかりとくっつきます。
容易には取ることができません。
こういった、しっかりとくっつくさまを意味します。
もう一つの意味は、同じところで動かないでいて、そのままの状態で落ち着くことです。
ある人は親から「お前は勉強ができない」と言われていました。
そのことを信じていて、自分自身で「勉強はできない」とずっと思っていました。
この考えにとらわれてしまい、別の考えができなくなっていたのです。
これは「勉強ができない」という考えに「固着」しているといえます。
「固着」の使い方
物質については、他のものにくっついて容易には取れないことを指して使用します。
シールのように簡単に取れてしまうものには使用しません。
同じところで動かないで、そのままの状態で落ち着くという意味では、考えや人間の行動について使うことが多いです。
「癒着」とは?
「癒着」には2つの意味があります。
ひとつは、本来は離れているはずの臓器や組織面が、炎症や外から受けた傷などによって、くっつくことです。
大腸は本来、管のような形をしています。
管の中を便などが通過できるようにすき間があります。
しかし、手術をするなど外部から刺激を受けたり、炎症を起こしたりすると、管と管の壁がくっついた状態になってしまうことがあります。
これを「腸の癒着」といいます。
くっついてしまうと、内部のものがスムーズに流れなくなります。
それによって、嘔吐、腹痛、食欲不振などの症状がでることがあります。
もう一つの意味は、好ましくない状態で強い関係ができる、結ばれてひとつになるです。
ある大学とある企業との間に強い結びつくがあったとします。
この大学を卒業したものは、優先的にある企業に就職することができます。
大学側は就職率を上げるために、企業に資金を渡しています。
これは、好ましくない結びつきです。
こういった関係を意味します。
「癒着」の使い方
臓器や組織面がくっつく、あるものとあるものの好ましくない関係でくっつく、という意味で使用をします。
「固着」と「癒着」の違い
「くっつく」という意味が似ていますが、意味合いが異なります。
「固着」は強くくっつくことです。
また、考えや関係などが動かないことです。
「癒着」は臓器や組織面がくっつくことです。
壁と紙がくっつくなど、物のことではありません。
また、好ましくない関係でくっつくことです。
「固着」の例文
・『ボルトが固着してしまった』
「癒着」の例文
・『子宮とそのの近くの組織が癒着する』
まとめ
くっつくという意味が似ていますが、何がくっつくのか、どういったくっつき方なのかという点に違いがあります。