「邪鬼」と「邪気」の違いとは?分かりやすく解釈

「邪鬼」と「邪気」の違い言葉・カタカナ語・言語

「邪鬼」「邪気」はいずれも「じゃき」と読み「邪」の字を使うため、混同しやすい言葉です。

印象は似ていますが意味は全く異なります。

この記事では、「邪鬼」「邪気」の違いを分かりやすく説明していきます。

「邪鬼」とは?

「邪鬼」とは?

「じゃき」と読みます。

たたりをなす神やもののけ、妖怪、邪悪な鬼、悪神、怨霊のことをさす場合と、四天王像の足の下に踏まれている鬼を意味する場合があります。

四天王とは仏教の世界において、仏法僧を守る四神のことです。

仏教がうまれたインドでは高貴で優雅な姿で表されていましたが、日本では鎧を付けた勇ましい武人として表現されてきました。

その武人の姿をした四天王像が足元に踏みつけているのが「邪鬼」です。

仏法を犯す邪神として四天王に懲らしめられるという役どころで、正しい仏法に負かされた苦悶の表情をみせています。

奈良の東大寺にある四天王像が有名で「邪鬼」も四天王像の足下にみることができます。

「邪鬼」の使い方

たたりをなす神、邪悪な鬼である「邪鬼」という言葉を日常会話や文章で使用するとしたら、どのような使い方になるのでしょうか。

いくつか例文をみてみましょう。

・『万引きの犯人は、まるで「邪鬼」のように警察官数名に組み敷かれていた』
・『自転車泥棒のような軽犯罪を犯す人間は、いつもちょろちょろと悪事を働いて回り、まるで「邪鬼」のようだ』

「邪気」とは?

「邪気」とは?

「じゃき」「じゃけ」「ざけ」と読みます。

一般的には「無邪気(むじゃき)」のように「じゃき」と読む人が多いでしょう。

病気などを起こす悪い気のことをいいます。

そこから意味が転じて、悪意やもののけ(人の怨念によってうまれる妖怪のようなもの)、風邪や病気なども示すようになりました。

源氏物語・太平記・古今著聞集など、平安時代以降の文学にみられるようになる言葉です。

この時代の人々は、人が病気になる理由として誰かの怨念や嫉妬などの悪意が影響していると考えていました。

この悪意こそ「邪気」ですが、「邪気」が風邪や病気まで意味するようになったのは、日本人の世界観が影響しています。

「邪気」の使い方

「邪気」が使用される例文をみてみましょう。

・『屈託のない笑顔をみせる彼は、本当に「邪気」のない人です』
・『「邪気」のないいたずらなので、許しましょう』
・『我が家では毎年、新年に「邪気」を払う意味でも大掃除します』

「邪鬼」と「邪気」の違い

「邪鬼」と「邪気」の違い

それでは「邪鬼」「邪気」の違いを、改めて整理してみましょう。

「邪鬼」「鬼」という字が使われているように怨霊・もののけ・鬼など、英語でいうところのモンスターを意味します。

目に見える場合があります。

一方「邪気」「気」という字が示すように、見られない「悪い気」「人を不幸にする悪意」などを示します。

まとめ

まとめ

この記事では「邪鬼」「邪気」の違いをみてきました。

どちらも「正しい心とは反対にある、人の邪な(よこしまな)気持ち」が言葉の土台にあるイメージです。

しかしイメージの現れ方が「鬼」「気」かの違いがあります。

意味を正しく理解して間違えないようにしてください。