「遊牧」と「移牧」の違いとは?分かりやすく解釈

「遊牧」と「移牧」の違い言葉・カタカナ語・言語

牧畜を行う上で、最も重要なのは飼育する牛や馬などの飼料をどう調達するかと言うことです。

動物の体調がベストな状態を保つことが肉やミルク等のクオリティにも影響します。

そのために行われるのが「遊牧」「移牧」です。

この記事では、「遊牧」「移牧」の違いを分かりやすく説明していきます。

「遊牧」とは?

「遊牧」とは?

「遊牧」とは、文字通り「遊んで牧畜を行う」ことで、別の言い方をするなら「自由に動き回ることによって牧畜に必要な牧草を調達する」牧畜のやり方のことです。

このようなやり方の牧畜を生業とする人たちのことを「遊牧民」と呼びます。

英語では「nomad」です。

歴史的には広大な範囲を遊牧する騎馬民族が遊牧民として有名で、常に移動して場合によっては戦闘することもあるため、農耕民族に比べて戦闘能力に優れていた。

そのため中国の王朝の多くは遊牧民によって興されたと言われています。

特にモンゴル王朝は中国だけではなくイラン、イラク、東ヨーロッパまで広がる世界最大の王国を築きました。

「移牧」とは?

「移牧」とは?

「移牧」とは、「移動して牧畜を行う」ことであり、一般的に夏は高地の牧草が豊富な地帯で放牧し、冬になると低地に下り、保存していた飼料を使って牧畜を行います。

形として遊牧と定住を繰り返すことになるため、両方の利点を兼ね備えた方法とも言えます。

定住している間には農耕も行うのが普通で、その時には分業体制も確立していました。

歴史的には地中海式農業地域を中心に見られる牧畜方法でしたが、現在は北米やオーストラリアにも見られます。

日本でも北上高地などで小規模な「移牧」が行われています。

英語では「Transhumance」と呼びます。

「遊牧」と「移牧」の違い

「遊牧」と「移牧」の違い

「遊牧」「移牧」の違いを、分かりやすく解説します。

この2つは牧畜に関する根本的なやり方です。

これらの大きな違いは飼料の調達方法です。

「遊牧」は、常に自然に繁殖している牧草を飼料とするので、当然牧草がなくなればある場所に移動する必要があります。

それに対して「移牧」とは、夏の間だけは自然の牧草を飼料として、冬は畜舎のある場所で保存されている飼料を使うやり方です。

「遊牧」の例文

「遊牧」の例文

「遊牧」の例文は以下のようになります。

・『遊牧しながら定住せずに渡り歩く人たちのことを遊牧民と言います』
・『遊牧に必要なのは、移動するために便利な手段です』

「移牧」の例文

「移牧」の例文

「移牧」の例文は以下のようになります。

・『移牧とは一定期間のみ放牧を行うやり方のことです』
・『移牧を行う人たちの多くは定住している期間に農業にも従事します』

まとめ

まとめ

この記事では、「遊牧」「移牧」の違いを、解説してきました。

牧畜を主な生業としている民族は歴史的にはモンゴル高原からヨーロッパのバルカン半島までの広大な土地を渡り歩く騎馬民族が有名です。

彼らは遊牧民と呼ばれ一箇所に定住しない生き方はさまざまな方面にも影響を与え続けています。