似たような意味を持つ言葉でも労働の法律用語になると途端に厳密な意味が発生する場合があります。
今回は同じと思いがちの2つについて見ていきましょう。
この記事では「申出」と「請求」の違いを分かりやすく説明していきます。
「申出」とは
この言葉は『権利を持つ側が一定の選択肢がある場合に相手方に対して自らの選択した内容について意思を伝えること』を指します。
これはどういうことでしょうか。
たとえば我々に一番身近な使われかたとしては育児休暇の申出ではないでしょうか。
また、介護休暇や休業の申出などもあります。
さてここで疑問に感じるのは申出を受けた側はどう対応するのかです。
結論から申し上げると基本的に拒むことはできません。
例えば先ほど挙げた育児や介護の為に休業をすると従業員から『申出』があった場合をかんがえてみるとよく理解できるはずです。
実際は法律で明確に定められているということもあるのですが、育児や介護が必要不可欠であるからという視点に立ったものです。
「請求」とは
こちらは『権利を持つ側が法律上だれから見ても権利を有しており、その権利を使って相手側に主旨を伝えるとともにその内容の行使をする様に働きかけること』を指します。
かなりややこしいのでもう少しかみ砕きましょう。
先ほどの例に当てはめてみると育児や介護を行うにあたり、これらを対応しにくくなる時間帯を避ける為に時間外労働や深夜労働などに対して『請求』をすることがあります。
さてこれは厳密に受け手側からするとどのようにとらえるのでしょうか。
結論としては『業務の正常な運営が妨げられる場合は請求を却下することができる』です。
こちらも法律にのっとった決まりになっており、雇用主側がビジネスを正常に行う為という視点に立ったものです。
「申出」と「請求」の違い
この二つは『受け手側が拒める』か『正常なビジネス活動を拒まれる場合のみ拒める』のかという違いではっきりと分けることができます。
前者は雇用側に立った視点、校舎は雇用主側に立った視点と見ることもできますが、雇用側は『正常なビジネスができなくなる場合』という限定的な場合のみ『請求』を拒めるので基本的には二つとも被雇用者側に立った決まりであるともいうことができます。
実はよく使われる言としてもう一つ『申請』という言葉があります。
法律的には『行う側がもともと権利や法律上の地位などを有さない側に対して権利が生じる様に求めること』という意味があります。
つまり、とても効力の強い法律用語の定義があることがお分かりいただけるはずです。
まとめ
如何でしたでしょうか。
一見同じイメージを持つ言葉ではありますが、我々に身近な労働関係の法律用語としてここまで厳密に定義がされているとは驚きではないでしょうか。
法律関係の文章を読む場合はそれぞれの表現が持つ意味をしっかりと把握しないと後々不利な立場になる可能性も大いにありますので十分に気を付けて文章を確認しましょう。