何かを『嫌がる』ことも様々なニュアンスのある言葉があります。
今回は混同しがちな2つについてご紹介したいと思います。
この記事では「厭悪」と「嫌悪」の違いを分かりやすく説明していきます。
「厭悪」とは
これは『何かを煩わしく感じてしまい対象を憎んでしまうこと』を表す言葉です。
読み方は『えんお』と言います。
ポイントは『煩わしい』にあります。
そもそも『煩わしい』とは面戸でうるさく、自分の心の平穏をかき乱す為にできれば避けたいと考える気持ちのことを表します。
今風に言えば『ウザい』ということができると思います。
例えば雨の日は服が濡れたり、公共機関が遅延したり、外での活動ができなくなるなど、普段の生活に影響を与えるだけでなく、何となく心がどんよりとしがちです、そんな時は『天候の悪さを厭悪する』つまり煩わしく感じて悪態をつきたくなるような状態というのは誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか。
ほかにも面倒な手続きや書類などで舌打ちを付きたくなるような状態は面倒で煩わしいと感じますので『厭悪』を使うことができます。
「嫌悪」とは
これは『生理的や倫理的に強い不快感を覚えて忌み嫌うこと』を指す言葉です。
ポイントとしては『生理的や倫理的』という部分にあります。
生理的とは理屈ではなく本能的に感じることであり、例えば爬虫類の持つにゅるにゅるとした質感などを嫌うという状態などです。
また、倫理的とはそれぞれがもつ人としての善悪や正邪の判断基準となるものです。
これらはどれもあくまでも『主観』であり、人それぞれであることは注意したい部分です。
つまりある事象や対象に出会ったり、見聞きした場合にこれら二つの主観に当てはめて強い不快感が出るのであれば『嫌悪』という言葉が適当になります。
例えば、身だしなみをしっかりしない人を生理的に汚い、だらしないと感じたり、場にそぐわない、時と場所をわきまえていないと自分の倫理観に当てはめる場合に『嫌悪』を使います。
「厭悪」と「嫌悪」の違い
この二つは対象が『煩わしいので嫌う』か『生理的、倫理的に不快なので嫌う』かという違いではっきりと分けることができます。
どちらも主観的な感覚が入ることで発生する感じ方を表す言葉ですが、あえて指摘をするのであれば『厭悪』の方がその度合いが強いことが挙げられます。
理由としては『煩わしい』と感じるのは人それぞれというだけでなく、状況やタイミングによっても大きく変化するからです。
それに比べて『嫌悪』はれら状況やタイミングにあまり影響を受けることなく比較的一貫しているといえる為です。
「厭悪」の例文
・『煩雑なプロセスがあまりに多すぎて厭悪してしまう』
・『大雪になると全ての予定が狂ってしまうので厭悪の情を抱く』
・『彼の細かすぎる正確を厭悪するあまり態度に出てしまった』
「嫌悪」の例文
・『自分の考えに合わないものを異質とみなして嫌悪する傾向にある』
・『犯罪者に対して激しい嫌悪感を隠すことができない』
・『土田さんの言い訳がましい態度に牧さんは嫌悪のまなざしを向けた』
まとめ
如何でしたでしょうか。
同じような意味を表す『厭』と『嫌』をもつ言葉の比較が今回の主役でした。
『厭悪』はあまりなじみがないという方もいらっしゃったと思いますが、是非違いを付けられるように意識をしてみてください。