「苦心」と「苦慮」は、「苦しむ」という漢字を用いる言葉です。
この2つの言葉は、どのように「苦しむ」ことを意味する言葉なのか。
この記事では、「苦心」と「苦慮」の違いを分かりやすく説明していきます。
「苦心」とは?
心が苦しむと書くことから、どれだけ辛い状況を意味する言葉なのだろうかと思われますが、「苦心」が持つ言葉の意味は、ネガティブな苦しみではありません。
ものごとを成し遂げる目標に向かって、色々と試行錯誤し苦労することを意味します。
決して、後ろ向きではなく、目標達成に向け一生懸命努力し苦労するといった意味が「苦心」にはあります。
その際、肉体的な苦労ではなく心を悩ませるといった苦労を指す言葉です。
そのため、「苦心」は「苦労」や「悩ます」、「労する」、「精進」などと同じような意味となります。
「苦心」の使い方
「苦心」は、「苦心する」や「苦心した」、「苦心が実る」などといった使い方のほか、「苦心の末」や「苦心作」、「苦心の跡」などといった言葉もあります。
「苦慮」とは?
「苦慮」には、苦心し色々と考え悩むことといった意味があります。
何かトラブルが起きたとき、そのトラブルを解決するためにはどうすれば良いか。
ベストな方法は何か。
と色々と考え悩むことが「苦慮」です。
大きなトラブルや深刻な事態、深刻な悩みといったことに対し考え悩む行為が「苦慮」となります。
そのため、「苦慮」は、「苦悩」や「苦労」、「四苦八苦」などと同じような意味となります。
「苦慮」の使い方
「苦慮」は、「苦慮する」や「苦慮している」、「苦慮した」などといった使い方となります。
「苦心」と「苦慮」の違い
同じ心を悩ますことを意味する言葉でも、その心の悩まし方に違いがあります。
「苦心」は、目標達成に向け心を悩ますことで、言い換えれば努力に近いものとなります。
それとは異なり、「苦慮」には、努力というニュアンスは含まれず、色々と考え悩むことを意味します。
このように、努力という言葉に置き換えることができるか、できないか、といった違いが「苦心」と「苦慮」にはあります。
「苦心」の例文
・『この作品は、彼の苦心作と言えるだろう』
・『苦心の末に完成したものだからこそ、これだけ愛情を持つことが出来ていると思う』
・『思春期の娘と仲良くしようと苦心する夫が少し可愛く見えます』
・『苦心に苦心を重ね、この薬を完成させることができました』
「苦慮」の例文
・『教育現場における感染対策に教員一同、苦慮しているところです』
・『今後、夫と離婚した場合、どのように子供を育てていくべきか苦慮しています』
・『怒りが収まらないお客様に対する対応に苦慮している』
・『良い解決策が見つからず、苦慮しています』
まとめ
同じ思い悩むことでも、それぞれが持つ言葉の意味のニュアンスは異なります。
思い悩みながらも、試行錯誤し努力する行為は「苦心」。
色々と考え思い悩む行為が「苦慮」となります。