この記事では、「追訴」と「訴追」の違いを分かりやすく説明していきます。
「追訴」とは?
「追訴」とはすでに訴えられている、起訴されている人に対して、別の罪を追加して訴えることです。
民事での裁判で使われるようなものではなく、犯罪の容疑者として刑事裁判を受けている人に対し、関連する別の犯罪についても追及することが「追訴」と言われます。
窃盗容疑で刑事裁判を受けている人に対し、窃盗された家に怪我をした住人がいるがその傷害も同じ被告の犯行ではないかと問い訴えるというのが、「追訴」の一例です。
「追訴」される罪状は何でもいい訳ではなく、現在争っている刑事裁判の罪状と関連すると判断されたものしか許されません。
関連する犯罪への追及が増えれば有罪になる可能性も高まりますし、有罪になった時の刑罰も重くなります。
逆に何かの犯人として罰を受けると、それで一件落着として他の犯した罪に対する罰を与えにくくなることもあるので、罪を犯して裁判を受けている人に、裁判中以外の罪も適切に罰を受けさせるために行われるのが「追訴」です。
「訴追」とは?
「訴追」は何らかの刑事事件において、検察官がその犯人と思しき被疑者を訴えて、事件について追及することです。
検察官が犯罪に関して誰かを起訴することが「訴追」と言えます。
容疑者が取り調べで自供すればそのまま逮捕となりますが、当然全ての犯罪者が素直に罪を認めるわけではありません。
罪を認めずしらを切るのであれば、第三者から見てもその人が犯人だという証明になる根拠を用意し、公平な第三者に判断して貰う必要があります。
その第三者からの公的な判断を下してもらうために行うのが刑事裁判であり、刑事裁判を起こすことが「訴追」です。
「訴追」するのなら検察官はその人が犯人だと断定できる証拠を挙げる必要がありますし、被告となった被疑者は犯人ではないと証明する必要があります。
「追訴」と「訴追」の違い
「追訴」と「訴追」の違いを、分かりやすく解説します。
刑事裁判で争っている被疑者に別の犯罪も被告の仕業ではないかと罪を追加して訴えることが「追訴」で、罪を認めない被疑者に対して検察官が証拠を揃えて刑事裁判を起こすことが「訴追」です。
「追訴」は刑事裁判が起こった後に、「訴追」は刑事裁判が起こる前にすることになります。
「追訴」と「訴追」がされた場合、大まかな流れとしては「訴追」、刑事裁判開始、「追訴」、判決という流れになるでしょう。
また刑事裁判をしても「追訴」されるとは限りませんが、「訴追」はしなければそもそも裁判が開かれないというのも両者の違いです。
まとめ
字面としては文字の前後が変わっただけなので混同されることも多いですが、「追訴」は追加して訴えること、「訴追」は訴えて追及することと、追の字が指す意味が違います。
この違いを元に言葉の意味を把握すれば、「追訴」と「訴追」の意味を混同することはなくなるはずです。