同じ読み方でも用いられている漢字が異なる「渡る」と「亘る」。
この記事では、「渡る」と「亘る」の違いを分かりやすく説明していきます。
「渡る」とは?
「渡る」に用いられている漢字、「渡」は、「渡米」や「渡航」、「譲渡」などに用いられます。
「渡」の漢字の意味は、川や海をわたる、過ぎる、手渡すなどとなります。
そんな「渡」を用いた「渡る」は、向こう側に移動することを意味します。
川や海の向こう側。
橋や道の向こう側に移動することが「渡る」です。
こちらから他方に移動する行為が「渡る」となります。
そのため、「渡る」は、「横断する」や「超える」、「通り抜ける」、「横切る」、「通行」などと同じ意味となります。
「渡る」の使い方
「渡る」の場合、「橋を渡る」や「川を渡る」などといった形で用いられ、日常的によく用いられる言葉となります。
「亘る」とは?
「亘る」に用いられている漢字、「亘」の意味は、わたる、めぐる、です。
端から端まで及ぶといった意味があります。
そんな「亘」を用いた「亘る」には、時間的な長さを意味し、世の中で生きていく長さ、暮らしていく長さ。
それらの時間や期間が途切れることなく続くといった意味があります。
また、「亘る」には、広範囲にくまなく及ぶといった意味もあります。
そのため、「亘る」は、「続く」や「広がる」、「伸びる」、「伸展」、「展開」などと同じ意味となります。
「亘る」の使い方
「亘る」の場合、「長きに亘る」や「数回に亘る」など、時間的な長さにおいて用いられる言葉となります。
「渡る」と「亘る」の違い
「渡る」は、向こう側に移動すること。
「亘る」は、世の中で生きていく長さ、暮らしていく長さを意味します。
同じ「わたる」という読み方でも、このように意味に大きな違いがあります。
「渡る」の場合、一般的によく用いられる言葉で様々な場面で用いることが可能ですが、「亘る」の場合は、さほど、日常的によく用いられる言葉ではなく、また使用用途も限られているといった違いがあります。
特に「亘る」の場合は、長さや範囲を意味する場合がほとんどです。
「渡る」の例文
・『横断歩道を渡る際は、しっかりと左右を確認し渡ることが大切です』
・『子供の頃、よく川を泳いで向こう岸に渡っていました』
・『母の怒鳴り声が、ご近所中に響き渡っていて恥ずかしいです』
・『毎年、この時期になると私が住む地域に渡り鳥が来てくれて嬉しいです』
「亘る」の例文
・『こんなことで、長年に亘る信頼関係が崩れるなど信じがたい』
・『彼は再三に亘る私からの注意を無視した結果、最悪の結果になったと考えられる』
・『数回に亘り説明されたが、納得することができない』
・『お客様には、祖父の代から長きに亘りご贔屓にして頂き感謝しています』
まとめ
以上のように同じ読み方でも「渡る」と「亘る」には大きな違いがあり、その点に注意し明確に使い分ける必要があります。