「横転」と「転覆」の違いとは?分かりやすく解釈

「横転」と「転覆」の違い言葉・カタカナ語・言語

乗り物の事故でよく聞く言葉に「横転」「転覆」があります。

このふたつの言葉はどのような基準で使い分けられているのでしょうか。

今回は、「横転」「転覆」の違いについて解説します。

「横転」とは?

「横転」とは?

「横転」とは、「立っているものが横倒しになって転がること」を意味する言葉です。

「地面に立っていたり移動したりしているものが何らかの理由で横方向に倒れてしまい立ち上がれないまま転がること」を指して「横転」と表現します。

一般的には自動車や鉄道などの乗り物に対して使われることが多く、事故で車両が横倒しになってしまい自力では起き上がれず転がったままになっている様子を指す言葉が「横転」です。

乗り物は一般的に縦方向に長い形状をしています。

前方に向かって進むのに正面面積はできるだけ狭いと効率がいいという理由により全体が縦長に作られますが、縦横の長さに大きな違いがあるものは横方向に力が加わると転がりやすいという特性をもちます。

車両同士の衝突や強風、地面の乗り上げなどの理由で乗り物が大きく傾いてしまい正常な状態を保てなくなると「横転」してしまいます。

乗り物以外にも立っているのが横に倒れて転ぶと「横転」という表現が用いられます。

人間や動物のほか建物や石像など縦横のあるものなら「横転」という表現を使えます。

「横転」の使い方

・『高速道路でトラックが横転する事故が発生した』
・『横転した列車から乗客が次々に脱出している』
・『トレーラーが横転し積み荷の石油が流れ出た』
・『横転事故に備えてサイドにもエアバックを取り付ける』

「転覆」とは?

「転覆」とは?

「転覆」とは、「船舶がひっくり返ること」を意味する言葉です。

一般的には「船舶が正常な状態を保てずひっくり返ってしまうこと」を指す言葉ですが船舶以外に列車に対しても使われます。

これは列車が発明された当初に先行して輸送用の乗り物として普及していた船舶から各種用語が流用された名残だとされています。

「転覆」「覆」には「正反対の方向に大きく反転する」という意味があります。

船や列車は基本的に巨大なものなので「転覆」という言葉が使われますが同じ乗り物でも自家用車のような小型で人数が少ないものに対しては「転覆」という表現は用いられません。

観光バスなど多くの人が乗る自動車の場合は「転覆」という表現が使われることもあります。

比喩的な表現として「巨大組織や政権などを崩壊に追い込むこと」という意味合いでも使われます。

「転覆」の使い方

・『ヨットが転覆する』
・『現代の船は転覆してもすぐに沈没しないように設計されている』
・『乗っている船が転覆した時は冷静に行動するのが大切だ』
・『救命胴衣をつけていたおかげで転覆しても慌てずに行動できた』

「横転」と「転覆」の違い

「横転」と「転覆」の違い

「横転」「転覆」の違いは「規模」です。

「横転」は横に倒れて転がるすべてのものに対して使える言葉ですが「転覆」は自力では転がる前の状態に戻れない大きなものに対して使われる表現です。

まとめ

まとめ

「横転」「転覆」は似たような意味合いですが使われる対象は明確に区別されています。

どんなものに対して使う言葉なのかに注目して使い分けましょう。