決議の規定などで「過半数以上」と「二分の一以上」と決められていることがありますが具体的にはどこが違うのでしょうか。
今回は「過半数以上」と「二分の一以上」の違いについて解説します。
「過半数以上」とは?
「過半数以上」とは、「半数を過ぎた数よりも上」を意味する言葉です。
「過半数以上」の「過半数」は「半数よりも上」を意味します。
一般的には多数決で物事を決めるときに用いられる表現で「全体を半分に分けたときの数を超えている数」が「過半数」です。
「過半数」という言葉そのものに半分を超えているという意味があるので「過半数以上」という場合も当然半分を上回っている状況を指します。
「過半数」ですでに半分を超えていることを意味しているので「過半数以上」というのは「半分を超えている数よりも上」を指しており二重表現に近い言葉の重複が見られます。
意味合いとしては「過半数」も「過半数以上」も「半分よりも上」という意味で使われておりほぼ同じような使われ方をされる言葉ですが、「過半数」がぎりぎり半分を超えている場合も含むのに対し「過半数以上」という場合は半分をある程度上回っている場合によく用いられる表現です。
「過半数以上」の使い方
・『遠足の行き先は過半数以上の賛成で鎌倉に決まった』
・『過半数以上の賛同者が得られたので議案を提出する』
・『過半数以上が反対しているのに持ち物検査が行われた』
・『接戦が予想されたが蓋を開けてみればあっさりと過半数以上の票を獲得し当選が決まった』
「二分の一以上」とは?
「二分の一以上」とは、「全体を二つに分けた数と同じかそれよりも上」を意味します。
「二分の一以上」の「二分の一」は「二で割った数」を意味します。
全体を二つに分けた数が「二分の一」であり「二分の一以上」とは「全体を二つに分けた数以上」を指します。
「以上」という言葉は「上回ること」を指しますが具体的には「同じかそれよりも上」を意味します。
「二分の一以上」という場合は「二分の一よりも上」だけでなく「二分の一とちょうど同じ」も含むので「二つに分けたちょうど半分」も「二分の一以上」に含まれます。
多数決をとるときに賛成と反対がちょうど半分ずつに別れ同票になってしまった場合、賛成と反対のどちらも「二分の一以上」です。
多数決で物事を決めるときは「二分の一以上」というルールはふさわしくありません。
「二分の一以上」の使い方
・『クラスの二分の一以上が運動部に所属している』
・『憲法改正に賛成の人が二分の一以上という結果になった』
・『二分の一以上という規定では同数になった場合の扱いに困る』
・『二分の一以上四分の三以下の範囲で決める必要がある』
「過半数以上」と「二分の一以上」の違い
「過半数以上」と「二分の一以上」の違いは「基準点の位置」です。
全体を100とする場合「過半数以上」は半分を上回る51と同じかそれよりも上の数を指します。
「二分の一以上」は全体の半分に当たる50と同じかそれ以上です。
ちょうど半分を含まないのが「過半数以上」、ちょうど半分を含むのが「二分の一以上」という違いで区別されます。
まとめ
「過半数以上」と「二分の一以上」は混同しやすいよく似た表現ですが基準点に決定的な違いがあります。
言葉のあらわす意味をよく理解して使い分けましょう。