この記事では、「償い」と「贖い」の違いを分かりやすく説明していきます。
似ている語を、正しくおさえていきましょう。
「償い」とは?
償い(つぐない)とは、足りない部分をおぎなうこと。
おもに相手に与えてしまった損失を、こちらがカバーすることです。
悪いおこないを良いおこないで、帳消しにしていく行動をあらわしています。
罪滅ぼしをしたいとき、過去のあやまちを訂正したい場合に使われます。
もともと「償い」の「償」という漢字には「借りていた物を返す」という意味があります。
そのため犯罪者が被害者の心に寄り添いながら、一生を過ごすことを「罪を償う」といいます。
相手に与えてしまった損害の穴埋めをすること、そうしようと思い動くことが「償い」です。
「贖い」とは?
贖い(あがない)とは、自分の罪と向き合うこと。
昔の過ちと向き合って、良い行いを重ねていくことです。
もともと贖いは、キリスト教の言葉です。
この世に生まれた苦しみから逃れるために、神様にいけにえを捧げることを贖いと呼んでいました。
日常生活で見かける機会の少ない「贖」という漢字には「物と物を交換する」という訳があります。
日本では「賠償」の代わりの言葉として、古い時代に使われていました。
現在ではキリスト教の教会で牧師さんが講話をおこなうとき、ヨーロッパの舞台でオペラが上演されるとき「贖い」という言葉が用いられています。
「償い」と「贖い」の違い
どちらも似ている言葉なので、区別が難しいです。
「償い」と「贖い」の違いを、分かりやすく解説します。
・よく使われるのは「償い」
「償い」と「贖い」は何かを犯したことによって、相手に与えた損害を穴埋めすることです。
自分から進んで、正しい行動を取っていく様子を示しています。
ただ「償い」と「贖い」を見比べたとき、ニュースで見聞きするのは「償い」になります。
「贖い」は旧約聖書にも載っている言葉で、キリスト教にまつわる教えです。
聖書を開いてみると「贖い」とは、いけにえを捧げる、召使いを自由の身にする、などの意味があります。
少し文学的な表現なので、讃美歌や小説のタイトルなど芸術分野で用いられています。
「償い」が犯罪をおかした人が生涯をとおして罪と向き合うことを示しているので、宗教的な「贖い」とは少々意味が異なっています。
まとめると加害者が、過去を振り返って被害者に寄り添うことが「償い」。
芸術や宗教の分野で、自分の欲と向き合うことが「贖い」です。
難しい言葉ですが、基本的な訳をおさえておきましょう。
まとめ
「償い」と「贖い」の違いを分かりやすくお伝えしました。
それぞれ「つぐない」そして「あがない」と読めます。
償いは加害者が自分の言動を反省して、被害者に寄り添って生活することをあらわしています。
そして贖いとは、キリスト教の教会やオペラの演目でつかわれる言葉です。
両者を比べたとき、よく見聞きするのは「償い」になります。