教わることをあらわす言葉として「教えてくださる」と「教えていただく」がありますがどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「教えてくださる」と「教えていただく」の違いについて解説します。
「教えてくださる」とは?
「教えてくださる」とは、「教えてくれる」の敬意表現です。
知識や技術を持つものが持たないものに伝授することを「教える」といいます。
「教えてくれる」は「他人が自分のために教えること」を意味します。
「教えてくださる」が指す行為の主体は「教えてくれる人」であり自分ではなく他人です。
先生が生徒に教える場合、生徒から見た先生の行動が「教えてくださる」です。
「教えてくださる」という言葉は敬語が用いられている敬意表現です。
「くださる」は「くれる」の尊敬語で敬意を込める相手の動作に対して用います。
「教えてくださる」は他人が自分のために教えてくれていることを意味しているので尊敬語が使われます。
一般的に「教えてくださる」という言葉が用いられるのは「時間を割いたり労力をかけたりなど自分のためにわざわざやってくれた」という感謝の意味合いが込められています。
教えるのに給料が発生する仕事であっても無償で行われる奉仕であっても相手の行動に対して感謝の姿勢を持つのは悪いことではありません。
相手の思惑や意図にかかわらず自分のために教えてくれたのであれば「教えてくださる」という丁寧な表現を用いるのは正しい選択です。
「教えてくださる」の使い方
・『初心者にも分かりやすく教えてくださるおかげで楽しく学べている』
・『ボランティアで教えてくださることに感謝している』
・『大学の先生がわざわざ小学校に来て教えてくださるのは大きな意義がある』
・『わかりにくい質問にも嫌な顔ひとつせず教えてくださる』
「教えていただく」とは?
「教えていただく」とは「教えてもらう」の敬意表現です。
「教えてもらう」は「教育を受けること」であり、意味合いとしては「教わる」と同じです。
教育には教える側と教わる側が存在しますが先生と生徒の関係において教わる側に当たる生徒から見た敬意表現が「教えていただく」です。
「教えていただく」は「教えてもらう」の謙譲語です。
謙譲語とは自分の行為に対して敬意表現を使うことで相手に対する敬意を示すもので、この場合は教わっている自分の行動に対して「教えていただく」という表現を用いることで教えてくれている先生に対する敬意を示しています。
「教えていただく」という表現には感謝のほかにありがたさが含まれています。
教えるという行為は相手が持つ貴重な知識や技術を伝達する行為を指します。
対価を払っていたとしても教育というのは感謝すべき行為であり自分のためにわざわざ教えてくれることに対してありがたい気持ちを感じるのは当然です。
「教えていただく」の使い方
・『世界情勢について専門家に教えていただく』
・『サポートに電話して操作方法を教えていただく』
・『教えていただくばかりで十分なお礼ができていないことに申し訳無さを感じる』
・『剣の奥義を教えていただくために修行に励む』
「教えてくださる」と「教えていただく」の違い
「教えてくださる」と「教えていただく」の違いは「行為の主体」です。
どちらも教える相手に対する敬意表現ですが「教えてくださる」は教えている先生が行為の主体であるのに対し「教えていただく」は教わっている生徒が行為の主体であるという違いで区別されます。
まとめ
「教えてくださる」と「教えていただく」は同じ意味ですが行為の主体によって区別されます。
まったく同じ意味なので混同しがちですが誰の視点に立っているのかを基準にして使い分けてください。