出自をあらわす言葉として「生まれ」と「出身」がありますが、このふたつの言葉にはどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「生まれ」と「出身」の違いについて解説します。
「生まれ」とは?
「生まれ」とは、「誕生した場所のこと」を意味する言葉です。
「生まれ」が意味するのは「出生地」です。
出生地とは戸籍に記載されているもので「人が生まれた場所」を指します。
一般的には件名や地域名など特定の土地を指しますが「名家の生まれ」のように属性を表す意味で使われたり「大正生まれ」のように時期を表す意味で使われたりする言葉です。
「生まれ」というのは「母親が産んだ場所」であり通常は生まれた瞬間の場所を指します。
病院や産院の住所がある場所が本来の意味での「生まれ」ですが、出産のために里帰りしている場合などは出産した場所ではなく実家ではない住所のことを「生まれ」とすることもあります。
「生まれ」の使い方
・『ここにいる人間は全員沖縄生まれだ』
・『明治生まれだとすると100歳を超えている計算になる』
・『いい家の生まれだからといって苦労していないと決めるつけるのは早計だ』
・『東北生まれは寒さに強い、というのはまったく根拠のない説である』
「出身」とは?
「出身」とは、「出てきた場所」を意味する言葉です。
「出身」という言葉には「そこで育ち成長して出てきた」という意味があります。
東京出身という場合は「東京で育った人」を指します。
一般的にはこの世に生を受けてからある程度成長するまで過ごした土地を指す言葉として使われますが、学んだり所属したりしてその人に多大な影響を与えた組織や団体に対して使われることもあります。
「東京大学出身」という場合は東京大学で生まれ育ったのではなく「東京大学で学び成長した」ことを意味します。
政治家の経歴などで見かける表現としては「財務省出身」という言い方がありますが、これは「財務省から政治家に転身した」という前歴の意味で使われています。
「出身」の使い方
・『出身は埼玉県だが郷土愛はほとんどない』
・『東京出身というだけで一目置かれる』
・『官僚の多くは東京大学出身だ』
・『大阪出身だが関西弁はほとんど使わない』
「生まれ」と「出身」の違い
「生まれ」と「出身」の違いは「育ち」です。
「生まれ」は誕生したことのみを意味する言葉で生まれた後にどこでどうやって育ったかは関係ありません。
「生まれ」は生まれた場所も含みますがどこでどうやって育ったかに重点が置かれています。
東京の病院で生まれたが生後正誤まもなく埼玉県に引っ越し人生の大半をそこで過ごしている人の場合、「生まれ」は東京ですが「出身」は埼玉県です。
ただし「出身」には生まれた場所も含まれるので埼玉県で育ったことにコンプレックスを感じて「出身」は東京だと言っても間違いではありません。
「生まれ」は誕生に対してのみ使えますが「出身」は身体の成長以外にも学んだり習ったり経験を重ねたりなどさまざまな「育ち」に対して使えるという違いもあります。
まとめ
「生まれ」と「出身」は似ているようでまったく意味の異なる別の言葉です。
混同することのないようにそれぞれの意味を正確に理解しておきましょう。