社会学における組織の研究は様々なものがありますが、社会学者のテンニースが提唱した「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」は特に有名です。
この記事では、「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」の違いを分かりやすく説明していきます。
「ゲマインシャフト」とは?
「ゲマインシャフト」とは共同体を中心にしている組織のことであり、小規模なことが多く参加者の絆やつながりを重要視するのが特徴的です。
精神面や心のつながりを大切にすることや小規模な点から、小さな共同体である村、自治体、宗教、クラブ活動、サークル活動などがこの概念に当てはまります。
小さな組織であり全員の絆や心のつながりが重要なものとされるために、利益的な行為や作為的な行為は望ましくないとされるのも特徴です。
組織内で問題や議題が上がった時には全員の合意を得ることが必要になり、精神的な連帯によって組織は運営されていきます。
これらの集団は打算的なものから生まれるものではなく、自然発生として生まれるものとされており、地縁や血縁などから発生することも多いのが特徴です。
「ゲゼルシャフト」とは?
「ゲゼルシャフト」とは共通の目的や利益を求めるために集まった組織のことであり、こちらはメンバーが自分の意志で参加を決意したという特徴があります。
自然発生した組織と違い明確な目的を果たすために集まったことから、これらの特徴は会社や企業などの利益を追求する仕組みと非常に相性がよいものとなっています。
作為的、自発的に人間が集まってできた集団でありその規模は時に非常に大きなものとなるのが特徴です。
規模としては国家、都市などの大きなものから、企業、組合、会社など資本主義の利益を追求する組織まで幅広い種類があります。
「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」の違い
「ゲマインシャフト」は自然発生した組織であり、昔の古い時代のような絆や心のつながりを重要視するのが特徴です。
「ゲゼルシャフト」は特定の目的に対して自発的に集まった組織であり、国家から企業など都心部の生活や資本主義と相性がいいのが特徴です。
「ゲマインシャフト」の例文
・『村八分とゲマインシャフトの関係性について研究しています』
・『ゲマインシャフトな組織なので、強制的な飲み会が多くて大変な思いをしています』
「ゲゼルシャフト」の例文
・『非常に合理的なその会社はゲゼルシャフトのお手本のようだ』
・『ゲゼルシャフトの研究には現代史の知識が必須になります』
まとめ
これら2つの言葉は社会学における組織論から生まれたものですが、最近ではビジネス業界の分析方法としよく使われています。
組織の運営には感情的なものと合理的なものと両方が必要になりますが、そのバランス加減はそれぞれの組織によって異なるので、複合的な分析するのが大切です。
この2つの概念はどちらが良いか悪いかを決めるものではなく、様々な組織のあり方を分析するために使うのが重要です。